表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけ生配信中なんだが? 〜生配信中に異世界転移してしまった結果、配信切れなくなった件〜  作者: 【星願大聖】永福
第二回・レベリングツアースタート!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/67

『行方不明になったという噂は本当だったかw』

 ◁

 Vtuberになるにはガワと呼ばれるアバターのイラストが必要になる。 そこで多くの魂はイラストレーターにガワの作成を依頼するのだが、


「いやはや、いつ見ても可愛いねぇナイルきゅん。 あたくしゃー生きてるうちに生でナイルきゅんを拝めて幸せなんだわさ」


「ママもここに転移してたんだね、俺びっくり」


 Vtuberで言うところのイラストレーターは産みの親同然。 よって、Vtuber界隈では担当してくれたイラストレーターをママと呼称するのだ。


「可愛い息子がやろうとしてるゲームだ、ママであるこのあたくしも興味持つに決まってるんだわさ」


 心底嬉しそうに頬を紅潮させながら、スタスタ接近して来て頭をわしゃわしゃと撫でくりまわしてくるビキニアーマーのお嬢様。 または露出狂の変態。


「そいつが黒湖ナイルっつーガキか? ありたむ」

 

 『まさかの親子再開w』

 『行方不明になったという噂は本当だったかw』

 『ナイル氏がプレイするゲームにことごとく潜ってるからなw』

 

 コメント欄が盛り上がっている。 この全く似合っていないビキニアーマーを装備しているお嬢様は、この俺黒湖ナイルを生み出したイラストレーター、ありたむご本人だ。


 彼女は大学からの友人であり、俺がVtuberとして活躍するきっかけをくれたイラストレーター。 大学時代は共にオタクイベントを回ったりしていた数しれないリア友なのだ。


 まさかこいつもここに転移していたとは、薄々いるかも知れないとか思っていたけれど……


「どうだい可愛いだろうバースィラ団長? うちの自慢の子だわさ」


「可愛いかどうかは知らねえが、面白そうじゃねえか」


 ママの隣に行儀悪く座っている女性は、サラーマさんに団長と呼ばれていた。


「へえ、この目でバースィラ団長を拝める日が来るとは感服だよ。 見て見て少年、彼女はファイヤーム傭兵団団長、モンクのバースィラさんだよ」


「おいおい、馴れ馴れしいじゃねえか新入り」


 ハートちゃんの紹介を受け、呆れたように肩を竦めるバースィラ団長。 女性なのにモンクなのか、少し珍しい設定な気がする。


「それにしてもサラーマ、お前最初の一回っきりぜんぜんシリス様の体を提出してねえじゃねえか。 もしかしてやる気なくしたのか?」


「ああいえ、それはその、ここ最近かなり忙しくてですね」


「口答えたぁ随分偉くなったなぁ? 表出ろよ、その根性叩き直してやっからよ」


「ちょちょちょ、勘弁してくだせえ団長! あ、やめて! 尻尾引っ張らないで! ナイル、ナイル助けてくれぇぇぇ!」


 涙目で助けを求めてくるサラーマさん。 俺は涙をこらえて両手を合わせた。


 ご愁傷さまです。

 

 『ちっくしょう! (サラーマさんが)持っていかれた!』

 『返せよ、たった一人のおかんなんだよ!』

 『確かにサラーマさんっておかん属性あるよな』

 

 サラーマさんが連れ去られたおかげで一旦場の空気は落ち着いた。 ということでホープさんが俺達をわざわざ招集した理由を問いたいのだが……


「よーしよしよし、可愛いなぁナイルきゅん♡ よーちよちよち」


「ちょっとビキニさん! あなた少年の頭を撫でくりまわすなんて羨ましいよ! ここに着くまではボクがこの子を育てたんだからね!」


「おやおや、だれだわさこの乳臭いガキは。 あたくしのナイルきゅんを育てたですって?」


「そうさ、この世界ではボクが少年の面倒を見てるんだから、真のママはボクだよ!」


「生みの親に対して随分な態度じゃないかい?」

 

 『ナイルたんのママはあたしよ!』

 『おかんの座をかけた母杯戦争勃発』

 『みんな喧嘩しないで頂戴。 しょうがないからあたしがナイル君のママになるわ!』

 

 左腕をママ、右腕をハートちゃんが引っ張り始め、綱引き状態になっているというのにコメント欄でも喧嘩が始まっている。


 それに対し、メメジェット氏から殺意ぶんぶんな視線が飛んでくる。 もう泣きたい。


 いい加減ホープさんに話を聞きたかったのだが、もう収集つかないから死んだ目で虚空を見上げるしかないのだった。

 

 ◁

「シリスの体はすでに五個提出されたって言っただろう、それが盗賊共に盗まれたらしい」


「それは本当かにゃ? ファイヤーム傭兵団の倉庫に保管してたシリス様の体を、たかが盗賊ごときが盗めるわけ無いにゃ」


「私もそこは盲点だったよ、慌てて駆けつけたが遅かった」


「そもそも、なんでお兄がそんな事知ってるの?」


「あたしが倉庫の護衛をしてたからさね! 助けに来てくれたこの人に事情を説明したんだわさ!」


 そう言って自らを指し示したのはママだった。


 おかんの座をかけた母杯戦争は一旦打ち切りになり、こうして本題を聞けたのだが……


 なにが何やらさっぱりわからない。


「うーんとね、説明すると長くなるから要点だけ説明していくよ?」


 ホープさん達はシリスの体を集めるため俺達とは別行動を取っていた。 現在提出されていないシリスの体は九個。


 そのためホープさん達はまだ提出されていない九個の内、一番難易度が低いダンジョンに向かったらしいのだが……


「すでにシリスの体は回収されていたんだよ。 動き出すのが少し遅すぎたかな?」


 なんでも六個目からは全職業レベル三十にしないと攻略が厳しいらしく、転移したばかりの俺達は共通してレベル一からスタート。 トト兄妹は効率の良いレベル上げの方法を知っていたから会ったときから中々の高レベルだったが、普通のプレイヤーはせいぜい一つの職業をレベル三十前後まで上げるのが関の山だろう。


 そもそも転移したてのプレイヤーたちはレベル上げよりも先に自分の安全確保だったり状況の確認が最優先だった。 トト兄妹だって本格的に動き出せたのは転移から二日目の朝からだと言っていた。


 普通のプレイヤーなら、強くてもレベル六十くらいだろう。 実際、俺とは違ってこのゲームをプレイする前に入念な下調べをしていたママでさえ、いまだにソルジャーでレベルは五十五らしい。


「ふむふむ、このビキニさんを平均よりやや上と考えると、六個目以降のダンジョン攻略は少々リスキーだよね」


「しかも転移したということはゲームオーバーを危惧しないといけない。 復活できるかわからないんだからね」


「それなら普通に考えてあそこは攻略できないし、そもそもボクたちのせいでジョブチェンダンジョンも高難易度になっちゃったからね」


 そう、何よりの問題はジョブチェンダンジョンがトト兄妹の余計な検証が原因で、ほとんどのダンジョンボスが超強化されてしまっていると言う事実。


「え? なんですかそれ初耳です」


「まさかこの前のレインボースコーピオンの超強化、原因は貴様らだったのか!」

 

 『そう言えばこの二人はあの時いなかったな』

 『またトト・ハートが口を滑らせた』

 『このボクっ娘はもしかしなくてもバカなのか?』

 

 どうやら初耳だったらしいメメジェットさんとラーザさん。 俺とサナさんは先日のパラディンのジョブチェンダンジョン周回中にハートちゃんが口を滑らせたのを聞いていたが、二人はその場にいなかった。


 当時のことを思い出したのだろうか、ハートちゃんはあからさまに俺達から顔を背けている。


「なるほどねぇ。 あたくし、転移してからしばらくしたくらいに、パラディンになろうかと思ってジョブチェンダンジョンに挑んだけど、ボスが強すぎて断念したんだわさ。 それはあなたがたの仕業だったんだわね?」


「えーっとその、ともかく! 今は先に取られてしまったシリスの体の行方を探すのが先決だよね!」


「ハートさん、あからさまに話題変えようとしてるにゃ。 これはまだくすぐりが足りなかったかにゃ?」


 小さなな悲鳴を上げながらホープさんの背中に隠れるハートちゃん。 愛くるしい状況だが今はそれにかまっている暇はない。


「と、も、か、く! 焦った私は自己複製顕現ドッペルゲンガーを最大活用して残りのダンジョンすべてに分身体を送った」


 ホープさんの自己複製顕現は最大五体まで複製できる。 その分身体五体プラス本体で一気に六箇所のダンジョンに向かったらしいのだが、


「それで私たちは本体とともに十二個目のダンジョン、サンドリア神殿に向かいました。 けれどそこでとあるプレーヤーに遭遇しまして……」


 言葉を濁してしまうメメジェットさん。 不思議に思って首を傾げていると、向かいに座っていたホープさんの表情が突然切り替わる。


「プレイヤー名はルタカ。 転移する以前からその悪名を轟かせている……私が最も許せないプレーヤーだ」


 いつも飄々としているホープさんからは想像もつかないような、憎悪に満たされたその表情を見て、これはただごとではないと直感した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ