第134話 『 親友と語りあう夢物語 』
今話の見どころ。颯太がついにアリシアを○○だと認めます。もう周知の事実です。手遅れです。
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【 side颯太 】
―― 3 ――
――とはいっても、アリシアには何か贈りたいなぁ。
お昼休み。窓から冬空を眺めながら、颯太はぼんやりと考えていた。
大切にする、と約束したものの、口約束では物足りなかった。暴走の件も、そもそも学校にいる間はアリシアの傍にはいられないから、万が一暴走が起きてしまっても止める手立てがない。絆こそ強固になれど、想いも強すぎればまた二人揃って振り回されてしまうかもしれない。ただでさえ、アリシアには日頃の感謝もままなっていないのだ。
だからアリシアには何か、日頃の感謝と好きという想いを込めた、形になる物を送りたかった。
「花はなぁ。すぐ枯れるしなぁ」
ありがちだが、味気ないので却下。
「指輪はまだ早いしなぁ」
花から飛躍し過ぎて却下。
「食べ物は、いつもあげてるしなぁ」
一番アリシアが喜びそうではあるが、好きなものはいつも買ってきている。
「あー。思いつかない」
中々妙案が浮かばず、悶々としてると、苦笑が聞こえてきた。
「ずっと独り言吐いててどうしたのさ? 控えめにいって気持ち悪いよ」
「どうせまたアリシアちゃんのことだろ……いつものことじゃん」
「そういう言うなよ。こっちは真剣に悩んでるんだ」
毒を吐く少女と呆れている少年に、颯太は眉間に皺を寄せた。
逆さにしていた顔を元に戻すと、颯太は親友――陸人と朋絵に手を振った。
「おかえり。売店込んでたか?」
「まぁまぁね」
「今日はなんとか戦利品ゲット~。つーか、颯太は行かなくて本当に良かったのかよ」
「あぁ。今日はアリシアが弁当作ってから」
「「愛妻弁当いいなぁ」」
「本当にアリシアには感謝してるよ」
「「あれ⁉ 反論してこない⁉」」
驚愕する二人に、颯太は構わず弁当袋を広げた。ただ、陸人と朋絵はそんな態度が気に食わないようで、
「なになに⁉ どういう心境の変化なの⁉ まさか、本当に結婚したの⁉」
「したくても俺はまだ18じゃないからできねぇよ」
「いつもなら愛妻弁当だ! ってツッコんでくるじゃん!」
「ツッコむのも疲れただけだ」
二人の質問に颯太は淡泊に返した。
互いに〝ずっと一緒にいよう〟というのは半ばプロポーズのようなものだ。なので、もうこの弁当は『愛妻弁当』であることに変わりはなかった。
否定をしない颯太に、朋絵は席を引っ張りだしながら感嘆した。
「二人ともずっと仲良かったけど、なんかこの間のことでぐっと距離が縮まったよね。なんかもう、全世界公認って感じ」
「規模が大きい……せめて潮風町公認にしてくれ」
既に颯太の生活範囲では、子どもやら老人やらにおしどり夫婦やアリシアは許嫁とまで言われているので、夫婦と呼ばれるのには慣れてしまった。アリシアも、若干だが慣れつつあるのが大問題だが。
そうツッコめば、陸人がいやいやと手を振った。
「文化祭であんなイチャイチャされちゃね、俺たちも認めざるをえないわけですよ。で、どうですか、その後のクラスの反応は?」
陸人も一緒のクラスだから知っているはずだが、わざとらしく聞いて颯太は嘆息した。
「あれからアリシアとのことばっか聞かれるよ。いつから付き合ってるとか、どれくらい進んだとか……二人って結婚してるんだよねとまで言われた。捏造したの誰だ」
「「~~~~」」
ジッと見れば露骨に視線を逸らされて、颯太は深く溜め息を吐いた。
「まぁ、もうアリシアを嫁って言われることに慣れてるからいいよ」
「なにその異様な貫禄。もう夫じゃん⁉」
「まだ夫じゃねぇ。でも、近いうちになるな」
「断定⁉」
隠す気もさらさらなくなって、颯太はぶっきらぼうに言った。その様子に二人は驚愕して硬直してしまっているが、颯太はどうでもいいか、と箸を持った。
「あのさ、俺の間違いじゃなければ、二人って付き合ったの半年前だよな?」
「むぐむぐ……そうだけど」
「ん⁉ お、俺がおかしいのか分かんないけど、結婚を決めるって半年付き合ったくらいでできるもんなの?」
挙動不審になりながら質問する陸人に、颯太は咀嚼し終えてから答えた。
「そんなの俺に訊くな。出会ってすぐ結婚する人だっているし、何十年も付き合ってから結婚する人たちだっている。俺は、アリシアを大切にしたいから一緒にいようって約束しただけだ」
今度は朋絵が声を出した。
「で、でもさ、一緒にいるっていたって、喧嘩したり、二人に限っては絶対にないかもしれないけど、そのさ、破局する可能性だってある訳じゃん」
「俺とアリシアが? ないない」
「言い切った⁉」
目を剥く朋絵に、颯太は告げた。
「そりゃ、この先アリシアとは喧嘩することだってあると思うし、悲しませたりもする。でも、そんな思い出も、大切にし合おうって約束したから。だから俺とアリシアは、この先何があっても、互いを想やっていられる」
「「なんて相思相愛だ⁉」」
朋絵と陸人だけでなく、いつの間にかこの会話に耳を傾けていたこの教室に居た生徒からも驚愕された。
うおっ、と驚いていると、陸人から感心されたような瞳を向けられた。
「颯太すげぇな。まだ16のお前が、そんな大人みたいな覚悟背負えるなんて、俺、感動したわ」
「大袈裟だ」
陸人から感嘆されて、そこでようやく自分の言葉に羞恥心を覚えた。頬の朱みを誤魔化しながら、颯太は咳払いすると、
「そういうわけで、俺とアリシアはこれからもずっと一緒だ。もう、二人を心配させるようなことはないから安心してほしい」
朋絵にも、陸人にも、迷惑をかけた自覚がある。だからこそ、改めて二人には、アリシアとのこの先の関係のことを伝えておきたかった。
颯太の言葉に、朋絵と陸人は感慨深さを覚えたように瞳を潤ませると、
「二人なら大丈夫だね、きっと」
「結婚式の親友挨拶は俺で頼むな」
「ありがとう朋絵。親友挨拶は朋絵に頼むわ」
「なんで俺じゃないの⁉」
颯太は陸人を無視して朋絵に頭を下げた。
「まぁ、結婚する予定があるだけで、まだ本当に決まったわけじゃないからな。これは将来の夢として、自分の目標にしておくよ」
「「それもそっか(だね)」」
颯太が吐息すれば、二人も現実に返ってくる。
そう。これはまだ、子どもが夢見る妄想でしかない。言ってしまえば、颯太もまだ、結婚とはどういうものか曖昧でしかないのだ。あの青い空に浮かぶ雲のように。
でもいつか、必ず現実にする。そう、胸に誓って。
「アーちゃんのウェディングドレスかぁ。絶対に似合うだろうなぁ」
「分かる。今でも着て欲しいくらいだ」
「試着くらいならできるんじゃない」
「さすがに無理だろ」
「そういうのは本番に着るから良さが増すんじゃないのか?」
「「陸人のくせに真面目な返しされた⁉」」
「お前ら酷すぎだぞ⁉」
そんな未来を夢見ながらも、颯太は今はまだ学生生活を謳歌するのだった。
―― Fin ――
昨日更新してない分めっちゃあげよう! とか言ってたら定期更新する意味ないねぇなって自覚してます。でも書きたい! 書き終わったからあげちゃう! ということで本日は2話公開!! いつもの天メソだぁぁ。作者狂ってるぅぅ!!
こんな理想なカップルがいてたまるかぁぁぁぁ!! と作者は血の滂沱です。颯太とアリシアは出会ってまだ半年です。それがこれです。いや本当にこの二人作者の精神大根おろし並みに擦りに来てるのよ。。。




