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第五十七章 ナンの町 1.「ワイルドフラワー」(その1)

本章では、シュウイの友人たちにスポットを当ててみます。今後は彼らも色々とやらかしてくれる予定なので。

「あ……できたみたい」



 ぽつりと呟いたセンの言葉に、居並ぶパーティメンバーたちが――一瞬の沈黙の後に――声を上げる。



「ちょっと! セン!?」

「どうやったの!?」

「教えて!」



 ここはSRO(スロウ)内におけるナンの町の外れ、使役術師のバーバラ刀自(とじ)が隠棲する小屋の一室である。彼女たちは女性のβプレイヤーからなる魔法職パーティ「ワイルドフラワー」。現在はナンの町の使役術師バーバラに弟子入りして、魔力操作の訓練の真っ最中であった。

 稽古開始から二日目、感覚に優れるセンが最初に魔力操作スキルを習得したのだが……生憎(あいにく)と感覚派のセンは()(だい)の説明下手でもあり、自分で掴んだコツを上手く伝える事ができなかった。



「おへそから背中にかけて、むにょっとしたものがあって、それをえーいって動かすと……」

「いや……どう動かすのかを知りたいんだけど……」

「う~んと……こう、動けーって感じに……解んない?」

「「「「解らん!」」」」

「だから……背中の内側にぽよぽよしたものがあるでしょう?」

(「「「背中の内側は背中じゃねぇ!」」」)

「センちゃん……とにかく、その……ぽよぽよをどうやって動かすの?」

「うん、捕まえて動かそうとすると逃げちゃうから、そうせずに、こっちこーいって感じで(おび)き寄せて……」

「…………」


(「コレは……自力でどうにかするしかない流れ?」)

(「そうみたいね」)

(「センだしね……」)



・・・・・・・・



 話の始まりは二日前、「ワイルドフラワー」の面々が使役術師バーバラに弟子入りしたところから始まる。



「良いかい? 使役術師に限らず魔術師なら、魔力の量だけじゃなくその扱い方にも習熟しておくのが当然さね。あんたたちみたいな『異邦人』は、魔力量を増やす事ばかりに血道を上げてるみたいだけどね」



 召喚中に魔力が切れたら命取りだよと言うバーバラの言葉に、それはそうだと(うなず)く一同。召喚(サモン)にしても馴致(テイム)にしても、見込みのありそうな相手を選んで契約を持ち掛ける方が勝率が良いのは当然で、そのためには相手の魔力の量と質を見極めるのが肝要(キモ)だと言う。



「魔力ってのは正直でね。その揺らぎを見てりゃ、相手がこっちにどういう思いを持ってるか、ある程度判るもんさ」



 相手の好感度が高いと契約が成立し易くなるのは当然として、契約した後も低コストで召喚に応じてくれたりするらしい。教えられた一同は唖然の(てい)である。



(「そんな話、初耳よ!?」)

(「知られざる真実ってトコ?」)

(「いえ……多分だけど、住人(NPC)の術者は皆知ってるって設定なんじゃないかしら」)

(「うわぁ……」)

(「相変わらず、ここの運営は鬼畜だよ……」)

(「ねぇねぇカナちゃん、それって、シュ……君の称号がお役立ちって事?」)

(「あぁ……友誼称号ね」)



 シュウイが持つ『霊魂の友』などは、死霊術師(ネクロマンサー)にとっては垂涎(すいぜん)ものの称号であろう。



(「何の事?」)

(「悪いけど、個人情報だから。それに……死霊術(ネクロマンシー)を持っていない私たちには、あまり関係無い話よ?」)

(「あ~……ソッチ系の(ネタ)かぁ……。解った」)



 頃良しと見たのか、ヒソヒソと内緒話をしている新弟子たちを眺めていたバーバラが(おもむろ)に口を開く。



「そういう訳で、あんたたちにはまず【魔力操作】のコツから覚えてもらうよ」

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