ウルク外町
ココロが兵士に話しはじめた。
「お疲れ様です。ボク、小さいですけど、これでも成人してます。
ボクたちは、東の方にある遠い国から仕事を求めて来ました。町に入る為の銀貨も持ってます。」
「ここは初めてか?」
兵士はまるで子供に接するかのように優しく、接してくれた。
「はい」
「最初は、詰所で手続きが必要だ。ついてきてくれ。」
「はい」
門のそばの小さな詰所に案内された。少し大きめな丸い机の周りに椅子が6つほど置かれている。
優しい兵士さんは、紙を3人分取り出して、太い芯だけになっている鉛筆のような筆記具を、俺たちに渡した。
「ここに、必要な事を書いてくれ。」
名前、生まれた「組」、年齢、ジョブ など…
名前は、ココロ
生まれは、二ホン
年齢は、18
ジョブは、水魔導士
…と、ココロが、俺たちによく見えるように、先に書いてみせた。
『世界の知識』で、どういう風に書けばいいのか、わかっていたのだろう。それを真似る感じで、俺たちも記入を始めた。
名前は、サクタ、
生まれは、二ホン、
年齢は、15
ジョブは、ナイト
…ナイトで、通じるのか不安だった。
けれど、それを兵士さんが、それを確認して回収してくれた時、何も指摘がなかったので、たぶん、問題ないのだろう。
ユーマの分も、回収すると、兵士さんは、ココロに外町の地図を渡して、地図に印をつけながら、説明を始めた。
「ここが、今、いるところで、ここに、宿屋がある。1泊白銅貨2枚(2千円相当)ほどだ。
結構早く部屋が埋まってしまうので、先に寄った方がいい。
他に宿屋もありが、1泊銀貨3枚(3万円相当)と、無駄に高い。」
「後で早速行ってみます」
「ここに武器屋が2件あるが、こっちの方がおススメだ。モノが良い。
ここに防具屋が3件ある。これは、どこも同じ感じだ。」
「なるほど」
「ここに冒険者ギルドがある。所属するには、ひとり銀貨1枚づつが必要だ。
討伐した魔物の素材とかは、ここに所属すれば、買い取ってもらえる。」
「助かります。ありがとうございます。」
ココロは、そう言っているが、実のところ『世界の知識』で先に知っている気がする。
「あとは…ここは甘いモノを売っているが、甘すぎず、丁度いい感じで旨い。
ここの料理も絶品だ。機会があったら、食べてみてくれ。」
「はい、是非、行ってみたいと思います。」
「あと、ここでは税として、1ケ月に銀貨1枚を納める必要がある。忘れると、追放されるので、気を付けてくれ。」
「わかりました。気を付けます。」
なんとも、優しい人だ。
こうして、詰所を出た俺たちは、兵士さんのおススメの宿屋に向かった。
・ ・ ・ ・ ・
宿屋では、優しそうな女将さんが出迎えてくれた。
かなり大きな建物で、部屋数も多そうだ。部屋は3種類の中から選ぶ事が出来た。
・1人1泊白銅貨1枚(千円相当)の「10人部屋」但し他の人と一緒になる
・1人1泊白銅貨2枚(2千円相当)の「4人部屋」他の人とは一緒にならない
・1人1泊白銅貨3枚(3千円相当)の「1人部屋」
…の3つの選択肢があったが、ココロは迷わず「1人部屋」を選択した。
この価格で、朝と夜の食事付というから、二ホンの基準で考えれば、格安な宿泊料と感じる。
「え?4人部屋でみんな一緒がいいんじゃない?」
「ごめん。寝るときは1人部屋がいいんだ…。」
そう言って、ココロは胸元を両手で覆った。ホントに、こいつ、男なんだろうか…。
ま、いいか…。今、それだけのお金はあるしな…。
「2階の一番奥だよ。」預かったカギには、星形の紫色の花が描かれていた。
俺は、花には詳しくないが、ココロは「桔梗」みたい…と言っていた。
この国では、識字率が低く、数字も読めない人がいるので、カギと部屋のドアには、同じ絵柄が描かれていた。
そうして、一旦、カギを預かった後、冒険者ギルドに向かった。
冒険者登録、遺品と埋葬した場所の情報の提供、討伐したキラーラビットの素材売却の為だ。
・ ・ ・ ・ ・
冒険者ギルドでは、俺たちと同じくらいの年齢に見える女性が対応してくれた。
なんというか、すごく胸の大きいコだ。
制服の左胸のあたりに名札がある。カレンさんと言うらしい。
名札を見る為に、胸をガン見していたせいか、カレンさんは、胸元を手で覆った。
そういう風に見ていたと思われたのは、ちょっと残念だが、
これ以上、嫌な思いをされても困るので、俺は目をそらした。
ホントに、名札を見てたんだよ。
胸も…ちょ~っと、見てたけどさ…。だってガン見したくなるほど大きな胸なんだもん。
門の時と同じような感じで、ココロが話しはじめた。
「お疲れ様です。ボク、小さいですけど、これでも成人してます。
ボクたちは、東の方にある遠い国から仕事を求めて来ました。冒険者登録をしたいです。
ここに来るまでに、3人で、キラーラビットを倒して来たので、それなりに力はあるつもりです。」
「登録にはひとり銀貨1枚が必要になりますけど、構いませんか?。」
「はい」
「登録に試験とかはないのですか?」
「ありません。
それにしても、キラーラビットとは、すごいですね。
うちではC+ランクに分類してる獣なんですが…。」
「C+ランクというのは、どのくらいの強さという事になりますか‥。」
「Cランク以上のパーティが複数で討伐するなら倒せる強さをC+としています。」
「なるほど…」
「ですから、皆さんは、Cランク以上の力はあるのだと思いますが、
それを証明出来る「実績」がない限りは、
基本的にGランクから初めてもらう決まりになっていますので…。」
「わかりました。」
「では、手続きしますね。
登録後にキラーラビットの素材の鑑定と買い取り行いますので、
もしかしたら、それで、ランクが上がるかもしれません。」
詰所の時と同じような内容を書く紙と、芯だけのような鉛筆を渡された。
この鉛筆、芯だけだから、ちょっと手が汚れるので、嫌だけど、仕方ないしな…。
こうして、Gランクで、冒険者登録し、パーティ登録もついでに行った。
パーティ名は、考えてなかったので、咄嗟にリーダーのココロに決めてもらった。
「キキョウ」というパーティ名で登録した。
今回、泊まる宿のカギが「桔梗」の花みたいだった事と、
「帰郷」を目指してるという事から、そう決めたらしい。
登録の際、俺たちの顔を見て確認してきた。
ユーマは、無言でコクリと頷いた。
「いいんじゃないか…」
俺はパーティ名に、特にこだわりはないので、そう言った。
特に変な名前でもないしな…。
こうして、ギルドに入る手続きを終えたが、
ギルドカードが、出来上がるのは、翌日の昼以降で、
それを受け取るまでは、依頼を受ける事は出来ないそうだ。
ちょっと残念だ。




