自己紹介
俺たち3人は、森の中に転生された。
近くには石畳で舗装された道があり、馬車のような移動手段があるのではないかと思わせる。
その道を進んで行くと、少し先に、石造りの城壁のようなものが見えた。中世でありがちな城塞都市のようだ。
高い城壁で囲まれた城塞の前方に、低い城壁で囲まれた城塞が併設されている不思議な構造だ。
3人の見た目は、見た目も、服装も、持ち物も、白い空間で見たのと同じような姿だった。
しまった、イケメンに転生して欲しいとお願いするのを忘れていた…と、ちょっと後悔した。
俺たちは、お互いの自己紹介をした。
最初に、一番小さいコ。
「結城 こころ。高3。よく間違えられるので、最初に言っておくけど、ボク、男だから…」
これは、驚いた。こんなにかわいくて小さい子が、自分より3つも年上で、男だったとは…。
本人は「僕は…」と話しているつもりらしいが、声がかわいすぎて、女の子が「ボクは…」といってるように聞こえてしまう。
次に、色黒で、背が高く筋肉の塊みたいなヤツ。
「帯刀 悠眞。中2。剣道、薙刀、空手の3つで全国優勝してるから、力には自信がある。」
こんなにデカいヤツが、一番年下だったとは…。
次に、俺が自己紹介。
「俺は、神木 彩久太。中3。転生もののラノベはよく読んでる。
よくも悪くも高校受験が無くなってホッとしてるところだ。よろしく頼む。」
そして、小さいコが仕切り始めた。
「ボクが一番年上みたいだし、この『世界の知識』というスキルもあるから、ひとまずボクが仮にリーダーでいいかな?。カミキさん、タテワキさん。」
「あぁ。」
「それで、構わない。
俺の好きなラノベの世界だと、転生って中世ぽい世界が一般的だ。
見る限り、それっぽい城塞も見えるし、中世なんじゃないかと思う。
こういうところでは、貴族しか名字ないと思うし、これからは、名前呼びしていかないか?。
年下の俺が言うのもなんだけど、年も近いし、さん付けもなしで行こうぜ。」
「なるほど。じゃあ、ボクもココロと呼んで…。2人は、サクタと、ユーマでいいのかな?。」
「あぁ。」
「それでいい。」
これから、かわいいココロを呼びすてで呼べるのは、ちょっとうれしい。
「それじゃあ、まず、ひとまずは、お互いの能力を確認していこうか。」
「まずはボクから…1つ目の能力は『清水』飲む事も出来るキレイな水を生み出す力。」
そして、ココロは、右手から水を生成し、左手に注いで、飲んでみせた。
「うん、大丈夫そうだ。」
「さて、攻撃能力は…」
右手人差し指の先から水を出しはじめる。ホースの先から水が出ているみたいだ。
それを、だんだん細くして、遠くへ飛ばし始める。そして、目の前の木を、ウォータージェットで切って見せた。
「今、飛ばせる距離は、10mくらいか…。」
そして、両手を本を読む感じに開くと、目の前に百科事典みたいなものが現れた。
「もう1つの力は『世界の知識』。この世界の事が何でもわかる力。
一番近くに見えているあの城塞都市は「ウルク」と呼ぶらしい。
「ユグドラシル王国」の国境の町だ。
都市は二重構造になっていて、高い塀に囲まれている「ウルク」と、
低い塀に囲まれている「ウルク外町」で構成されていて、ボクらは「外町」しか入る事が出来ない。
「それでも「外町」に入るには、ユグドラシル銀貨を1人1枚納めるか
「外町」は「ウルク」に所属してる人の紹介がいる。今の段階で、後者は無理そうだけど、
この近くに、絶命した冒険者がいて、その財布の中にその銀貨が30枚入ってるらしいので…」
「それを頂戴しようって…事か…」
「いや、死者とはいえ無断拝借すると「ウルク」や「外町」では、盗みとされるらしい。
だけど、その遺品と一緒に持っていくと、遺族に感謝され、罪にはならない上に、
財布の中身の半分をもらえるらしい。とりあえずは、その方法でウルクに入ろうと思う。」
「すごいな『世界の知識』って能力は…。」
「次にユーマ、能力を試してみて…。」
「刃物を自由自在に使える『ブレード・マスター』は、今、刃物を持ってないので試せないけど、
火を自由自在に使えるという『火炎魔法』という力を試してみる。」
右手の先に、火を灯してみせた。
「熱くない。」
地面にある木の葉につけてみると燃えた。
「熱っ。」
火をつけたとたん熱くなったらしい。
「その火は飛ばせる?。」
「やってみる。」
極細の火炎放射器みたいな感じで、細い火が飛んでいく。
目の前の木に使ってみると、ココロのウォータージェットのように、木を切る事が出来た。
そして、切られた木は、普通に燃えた。
「次は俺の番か…」
「サクタが、今、持ってるジョブはナイトだけで、
レベル30になったらジョブを1つ増やせるらしい。
『ア-ティファクト』は、想定レベル999という人知を超えたもので…」
と『世界の知識』を見ながら説明してる途中で『ア-ティファクト』に着替える。
着替えは、1瞬だった。しかし、予想に反する結果が待っていた。
「ちょ…。説明終わってないのに…。」
「レベルが999が低い分だけ、鎧が重く感じるので、鎧を着た状態で手足を動かせなくなるし、
それが、脱げるようになるまで、レベル1の場合3日かかるって、言おうと思ってたのに…。」
「マジか…」
確かに重すぎて、手足が動かせない。
ナイトの『ア-ティファクト』は、全身鎧だった。
鎧にありがちな繋ぎ目がなく、すべて金属で塞がっている…らしい。
頭も兜で覆われている感じがするのだが視界は塞がれていない。
「どんな見た目?」
「全身鎧って感じでカッコいいけど、なんか、ピカピカ光ってて、スゴイ目立つ。
こういうのって普通は関節が隙間になっていて、そこが弱点になりやすいと思うのだけど、謎の金属で埋まっていて隙間がない。」
「関節部分の金属は『世界の知識』によると自由に変形するんだって、
レベルが上がったら、動かせるんじゃない?。」
ユーマがニヤリと笑う。
「なんか、斜め上の結果じゃん」
「頭の部分はどうなってる?」
「なんかね。一見、中世の騎士みたいな感じで、顔の前まで覆うような鉄兜なんだけど、半透明の素材らしくて、
うっすらと、サクタの顔が見える。ここも、隙間1つないね。」
「そっちからの見た目はどう?」
「あぁ、視界は良好だ。中で首を動かす事も出来て、それでも視界は遮られてない。」
「さて、これ、どうしようか…。」
「普通に脱げばいいんだろ、今、解除するよ。…って、あれ、脱げない。あれ‥?、え?」
「さっき、レベル1で装備したら、3日は脱げない…って言ったじゃん。」
「マジか…。」
「とりあえず、さっき話した先輩冒険者の死体がある場所に向かおうか…。」
「よいしょ…っと」
‥と、ココロが、俺を重そうに持ち上げようとした。
「あっ。軽い…っていうか重さがない。ボクひとりでも、持ち上げれそう。」
「ここに一人置いて行かれるのは困るので、すまんが、抱えて運んでくれ…」
「りょうかぁ~い」
ちくしょうカワイイなぁ。
鎧には、鎧が触れた感触を伝える能力があるようで、ココロの手の柔らかさが伝わってくる。
めちゃくちゃ柔らかい。こいつ、ホントに男なんだろうか?。
男だとわかっているのだが、性欲強い中学男子だけに、妄想せずにはいられない。




