転生
街中で、数千万円以上は確実な感じの真っ赤なスーパーカーが轟音を響かせながら近づいてきた。
すげー、フェ〇ーリじゃん。詳しくないので車名までは知らんけど…。
カッコイイ。音もいい。感動しながら…見入っていたら、
速すぎてカーブを曲がりきれなかったのか、歩道にいる自分たちの方に突っ込んできた。
そうして、自分と、その周りにいた数人をはねて止まった。
・ ・ ・ ・ ・
気が付くと、床も壁も何もない白い空間に浮いていた。
死んだって事か?。
俺の他に2人…。たぶん、俺と一緒で、例の車に轢かれたのだろう。
1人目は、とにかくかわいいコ。かなり、男子からモテるに違いない。とても清楚で可憐な印象だ。
身長150㎝くらいだろうか背が小さい。肌は色白で、むきたてのゆで卵みたいにツヤツヤでキレイな肌。
制服を着ていたが、スカートではなく、ズボンをはいていた。
まぁ、女子でもズボンをはく時代だしな…。生足が見れなかったのは、ちょっと残念。
そして、通学カバンのようなカバンを持っていた。
もう1人は、色黒、高身長で、筋肉の塊みたいなヤツ。
俺は身長165㎝だが、こいつは、俺が見上げないといけない程の高身長だ。
たぶん、180cm以上はあるんじゃないかと思う。
腕や足は筋肉がパンパンに詰まってスゴイ太い。とても強そうだ。
胸板も厚そうで、服の上からだが、そのあたりの隆起を感じる。
顔はニキビもなく、肌はキレイでツヤツヤ。
どちらかと言えば、キレイな顔立ちだが、目は鋭くキツい。
こういうヤツが女にモテるんだろうな…。ちょっとジェラシーを感じた。
大きなスポーツバックを持っていた。
…などと、同じ空間にいるヤツを観察していたら、目の前の空間が光って、更に2人の人が現れた。
いや、違う、目の前にいるのは人じゃない。なぜか、そう感じた。よくわからないが、本能がそう感じてる。
たぶん、人知を超えた存在だ。
2人は、神だと名乗った。
1人目の神「リタ」は、俺たちに謝った。横にいる素行の悪い神「アクル」のせいで殺してしまって申し訳ないと…。
「アクル」と呼ばれていたもう1人の神は、さっき、俺たちを轢いたスーパーカーを運転してたヤツだった。
こいつは他の用事で地上界に降りた後、
調子に乗って、酒を飲んだ後、スーパーカーを盗み、乗り回していたら、
酒の影響で眠くなり、気が付くと俺たちをはねていたらしい。酷い話だ。
「アクル」は、見た事もない拘束具で手足を拘束され、
口にはさるぐつわのようなものが装着されていて、話す事が出来ないようにされている。
今回の件は、神界でも問題となっていたそうで、
素行の悪い神「アクル」には厳重な罰を与える事になったと言う。
神としての「特別な力」を奪い「人」として地上界に追放する罰に決まったそうだ。
しかし、俺たち3人は、残念ながら元の世界に生き返らせる事は出来ないという。
「リタ」から、俺たちに与えられた選択肢は2つ。
・同じような年齢と体で、別な世界に転生 (その場合、何か特別な力を与えてくれる)
・死を受け入れ、次に生まれ変わる機会を待つ(その場合、人に生まれ変わるとは限らない)
※赤子から生まれるのが転生で、そのまま飛ばされるのか転移というかと思いますが、
今回は、その世界で新たに体を作りなおすので転生という表現にしています。
小さいコが先に話し出した。
見た目通り、とてもカワイイ声だ。聞いていて癒される。アニメの女性声優さんみたいな声だ。
「まだ死にたくないし、転生させて欲しいけど、ここにいる3人を同じ場所に転生させて欲しい」と頼んだ。知らない世界に一人でいるのは、危ないから、少しでも、知っている人を同じ場所に転生させて欲しいのだと。
俺たちも、その提案に頷いた。
そして、これから与えてもらう特別な力について、
何か希望があるかと聞かれたので、ひとりづつ応えていった。
ここで与えられる力は、最初はレベルも低いので能力に限界はあるが、
鍛錬を積めば、発揮出来るようになるとそうだ。
背が小さいコが、望んだ事は3つ。
・キレイな「飲み水」を自由に出せる事。
初期状態でも3人が水に困ることなく、出来るだけ無限に水を生み出す能力である事。
・その水をレーザーのように細く高速に出して「水で敵を貫いたり切断出来る」ようにする事。
・これから行く「世界の知識」。
お願いしすぎじゃね?。…と思っていたが、アッサリ受理された。
色黒のデカいヤツが、望んだ事は2つ。水があるなら…と、
・刃物を達人の域で自由自在に使えるようにする事。
・火を自由自在に生み出し扱えるようにする事。
これも、2つとも受理された。
俺は、全てのジョブに応じた
・人知を超えた超最高レベル用の「神クラスの伝説の装備品」を、
全身を包み込む防具と武器として呼出せる事。
・「アーティファクト」を初期レベルでも装備出来る事。
・自由に「ジョブを切り替えられる」ようにする事。
・無限に収納できる「亜空間収納」を使える事。
その中に入れておけば、温かいまま、冷たいまま、長期保存出来るものを…。
欲張りかもしれないが、4つお願いしてみた。
これも、全て受理された。
俺がいつもやってるオンラインゲームでは、レベルも重要だが、それ以上に、装備品が重要だった。
同じレベルでも、装備品が違うだけで、攻撃力もHPも倍以上に変わる。
だから、装備品にアイテムレベルというのがあり、
たとえ、レベルが高くても、アイテムレベルが低いと戦力として扱われない。
今度行く世界が、そんなゲームと同じような世界なのか知らないが、
そういうゲームをやり込んでいる俺としては、高レベルの装備品があれば、無敵じゃね?と思っている。
殆どのゲームでは、低レベルのうちは、高レベルの装備品は装備出来ないものだが、
今回は初期レベルで「装備出来る」事も含めてお願いしたので、
きっと最強の高レベル装備品を、レベル1のうちから装備出来る事になるだろう。
3人の中で、まさに無敵…。…と思っていた。たぶん、俺が最強…。ついつい、にやけてしまう。
こうして、俺たち3人は、同じ場所に転生された。
・ ・ ・ ・ ・
一方、俺たちが転生された後、素行が悪かった神「アクル」も、能力を奪われた状態で、人として、同じ世界に転生させられていた。
そして「アクル」は…
「俺は悪くない。こんな世界に転生させやがって、バカにしているにもほどがある。
必ず天界に復讐してやる。だが、その為には力が必要だ。」
アクタは考えを巡らせる。手には、天界から内緒で持ち出した「特殊なナイフ」が握られている。
このナイフで、特別なスキルを持っている生物を殺すと、そのスキルを奪う事が出来る。
「そういえば、あの3人は、何か特別な力をもらったとか言っていたな。
そもそも、あの3人が、いなければ、俺は、こんな事にならなかったんだ。
まずは、あの3人を殺し、その力を奪ってやる。そして、いつか天界に復讐してやる。」
…と逆恨みを抱いていた。




