墓地に置くだけの最強戦術
ウルク城塞内の墓地で、アンデットが発生する事件が発生し、C+ランク・パーティの俺たちに指名依頼が来た。
依頼内容:「アンデットの退治」
依頼料 :金貨10枚(100万円相当)
ココロは、簡単に達成できそうだとあっさり受領した。
嫌な予感はしたが、否定材料もない。
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問題は、ココロとユーマにはアンデット対策がないことだった。
だが『世界の知識』によると、
俺の『アーティファクト』はアンデット特効だった。
盾は弱体化と挑発。
鎧は接触で浄化。
剣は……構えるだけで封印状態。
つまり。
俺を墓地に「置くだけ」でいい。
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ウルク城塞に入るには、
ウルク組の人の同行が必要だそうだ。
担当のカレンさんが、同行を承諾。
「差し支えなければ、私が、同行します」
「で、作戦は?」
「夕方から墓地でサクタに銅像化してもらう」
「銅像化?」
「後で、見ればわかりますよ」
嫌な単語が出てきた。
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作戦は単純だった。
早めに夕食を済ませる。
夕方、墓地に移動。
アーティファクト発動。
そのまま放置。
夜になればアンデットが発生。
あとは全部、俺の装備が勝手に処理。
他のメンバは、塔の上から観察。
◇ ◇ ウルク城塞 ◇ ◇
ウルク城塞は、ウルク組の家だ。
組とは、大家族の事だ。
日本とは違い、数千人規模の大家族だが……
そこに里帰りしているわけだから、
久しぶりに帰ってきたカレンさんを見つけ、
組の人たちがあちこちから次々と話しかけてくる。
「カレン、久しぶり!」
「元気にやってるか!」
そんな中、ひとり、異質な男が、近づいてきた。
「お前らが噂のパーティか」
カレンさんの父親だという。
つまり、ウルク組のトップ――ディーノ・ウルク。
そして、今回の指名依頼の主でもある。
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墓地へ向かう前に、ディーノさんにも、作戦を説明した。
「……銅像?」
ディーノさんのツッコミが入る。
「見ればわかります」
説明は捨てた。
◇ ◇ 夕方、墓地に到着 ◇ ◇
ディーノさんやカレンさんからの視線が重い。
「じゃあ……行くぞ」
俺は、アーティファクトを起動した。
動けない。
完全に「置物」だ。
◇ ◇ 夜、ここは塔の上 ◇ ◇
「……あれが、銅像化ですか」
「はい。動けないので……」
「本当に?」
「動けない代わりに、全部防ぎます」
墓地が明るくなった。
「はじまりましたね」
盾から何本ものレーザーが放たれ、アンデットが崩れていく。
「消えた……」
「本当に消えますね」
次に、鎧が触れた個体が、光になって消滅する。
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だが、大型のアンデットは違った。
サクタのところまで到達し――
鎧をかじって――
消えた。
「……あれ、なんか悲鳴が聞こえるんだが?」
「仕様です」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ココロが支援できないか試し始めた。
「支援してみるね」
ウォータジェットを、アンデットに向ける。
アンデットが、さらに崩れる。
「お……これでも削れそう」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「なんか、サクタさんの悲鳴が大きくなってませんか?」
「仕様です」
「この作戦、大丈夫なんですか?」
「目的は達成できます!」
「ただ……」
「ただ?」
「すごい、痛いらしいですけど……ね」
・ ・ ・ 夜明け前 ・ ・ ・
墓地は静かになった。
アンデットは消え、
地面には討伐証明となる部位が無数に散らばっている。
サクタは――
まだ「銅像」のままだった。
肩を軽くつつく。
反応がない。まるで〇〇のようだ。
「まるで気絶のようだ……って思ってます」
「前もそうだったな」
そう言って、ココロとユーマは、討伐部位を拾い始めた。
こうして、依頼は、無事完了した。
そんな時、とんでもない一報が舞い込んだ。
「大変です。スタンピードが発生しました」
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