偽金貨騒動
ココロが露店で、棒や板や紐を買っていた。
「何に使うんだ?」
「天秤を作ろうと思って。あとで手伝って」
嫌な予感はしたが、断る理由もない。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
宿に戻ると、ココロはすぐに俺たちを自室に呼んだ。
「今回の金貨、偽物が混ざってる」
「偽物?」
「軽いらしい」
俺は『無限収納』から金貨を取り出そうとして――気づいた。
すでに、中で勝手に分かれている。
「……もう分かれてるぞ。軽いのと重いので」
「じゃあ分けて出して」
取り出して比べると、確かに違う。
「重さも違うし、文字の一部が欠けてる」
ココロは頷いた。
「全部で26枚、偽物だね」
◇ ◇ 翌日、冒険者ギルド ◇ ◇
「金貨に偽物が混じっていました」
ココロがカレンに耳打ちする。
応接室に通され、ギルド長が現れた。
「昨日頂いた報酬のうち、26枚が偽金貨でした」
俺たちは実物を並べた。
「確かに違うな……重さも違う」
確認は一瞬で終わった。
そして、正しい金貨に交換してもらう事が出来た。
◇ ◇ 冒険者ギルド 別な場所 ◇ ◇
文書複製能力のある、ホラフさんは、1人で、
金貨の見分け方が、書かれた文書を、複製していた。
そして、自分の金貨が、全部、偽物だと気づいた。
彼は静かに、手元の金貨と、
ギルドの金庫の金貨を、入れ替えた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
資料の複製が終わったので、
ギルド職員総動員で、
ギルド内にある全ての金貨の仕分けが始まった。
すると、すぐに異常が出た。
ギルドの金庫から、偽金貨が、大量に見つかり始める。
最終的に、数百枚単位で発見された。
「これは……まずいな」
ギルド長は顔をしかめ、組長の元へ相談に向かった。
◇ ◇ ◇ 翌日 ◇ ◇ ◇
町中に、偽金貨の見分け方が貼り出された。
偽金貨は、あちこちで、見つかっていく。
ギルドは、緊急対応に追われた。
「このままでは、報酬が出せない……」
資金が、一気に逼迫する。
◇ ◇ ◇ 数日後 ◇ ◇ ◇
ウルク組から、冒険者ギルドに、支援金が出た。
金貨800枚。
それでようやく、最低限の運営が保たれた。
こちらの金貨には、偽物は混じっていなかった。
「発生源は不明か……」
ギルド長は呟いた。
偽金貨は、すでに、外町全体に、広がっていた。
一番多く、偽金貨を持ってたのは、冒険者ギルドだった。
冒険者ギルドに、問題が潜んでいる。
そう疑いながらも、真相には届かないまま――
この件は一旦保留となった。
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