表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『俺だけドロップ率∞のバグスキル持ちだった ~底辺探索者のダンジョン配信が、いつの間にか世界最強チャンネルになっていた~』  作者: やまご


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/93

第79話 選ばなかった代償を、選び直す

夜の空気は、妙に重かった。


事故現場はすでに封鎖され、赤色灯だけが規則正しく瞬いている。

だが俺には、それ以上に“歪み”が見えていた。


空間の奥に走る、見えない“線”。

その一部が、不自然に折れ曲がっている。


――自分が曲げた場所だ。


「……ここだな」


俺は小さく呟いた。



アリアが隣に立つ。


「まだ残ってるの?」



「はい」


俺は頷く。



「完全には戻ってない」



カイが腕を組む。


「当然だ。すでに“結果”が出ている以上、単純な巻き戻しはできない」



リゼが顔をしかめる。


「じゃあどうすんの?」




俺は、少しだけ考える。



巻き戻せない。


やり直せない。



なら。



「……繋ぎ直す」




その言葉に、カイがわずかに目を細めた。


「ほう」



アリアが聞く。


「具体的には?」



俺は空を見る。



歪んだ“線”。



原因と結果が無理やり繋がれた場所。



「……無理やり曲げたから、別の場所に負荷が行ってる」



「だから、それを分散させる」




リゼが眉をひそめる。


「そんなことできんの?」




俺は正直に答える。



「分からないです」




少しだけ、沈黙。




だが。




「やるしかない」





アリアが小さく息を吐く。




「……そうね」




そして。




一歩近づく。




「一人でやらないで」





俺は頷く。




「はい」





手を握る。





その瞬間。




世界の見え方が変わる。




“線”がさらに細かく見える。




一つの流れじゃない。




無数の選択の積み重ね。




「……これか」




理解する。




一つを変えたから歪んだ。




なら。




“複数を少しずつ変える”。





「……行きます」





存在干渉、発動。




だが。




今回は違う。




“強く変えない”。




ほんの少しだけ。




流れを“緩める”。





その瞬間。




歪んだ線が、わずかに動く。




だが。




まだ足りない。




「……っ」




負荷が大きい。




一箇所じゃない。




複数同時にやらないと。





「アリア」




「ええ」





言葉はいらない。




同時に干渉。





“分散”。




一つの歪みを。




複数に分ける。





その瞬間。




空間が大きく揺れる。




「……干渉確認」




あの声。




観測者。




「歪み修正、開始」




「興味深い」





プレッシャーがかかる。




見られている。




試されている。





だが。




止めない。





「……まだ」




俺は押し込む。




「終わってない」





線が少しずつ、戻る。




完全じゃない。




だが。




“折れ”はなくなる。





そのとき。




現実側。




事故現場。




負傷者の容体が安定する。




致命傷だったはずの状態が、わずかに改善する。




「……!」




リゼが声を上げる。




「戻ってる!」




カイが低く言う。




「いや、“変わってる”」





俺は息を吐く。




「……完全じゃない」




だが。




“悪化は止まった”。





それでいい。





その瞬間。




歪んだ線が。




ゆっくりと。




元の流れに近づいていく。





「……修正完了」




観測者の声。




「干渉精度:上昇」




「分類:変化」





俺は空を見る。




「……まだ見てるな」





だが。




前とは違う。




ただの観察じゃない。





“評価”。





アリアが小さく言う。




「……どう?」





俺は少しだけ考える。




そして。




「……難しいですね」




正直な感想。




「でも」




小さく笑う。




「やれることはある」





リゼが笑う。




「それで十分でしょ」




カイが頷く。




「最適解だ」





俺は空を見る。




歪みは消えた。




完全じゃない。




だが。




“壊れてはいない”。





「……次は」




小さく呟く。




「最初から間違えない」





その言葉。




自分への誓い。





アリアが隣で言う。




「無理よ」





俺は少しだけ驚く。





「でも」




続ける。




「間違えたら、直せばいい」





その言葉。




強い。





俺は頷く。




「……はい」





手を握る。





第4部。




“選び直す物語”へ。





第79話 完


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ