第56話 外側の本体と、重なり切る存在
「……観察は終わりだ」
その声が響いた瞬間――
世界が“歪んだ”。
夜の都市。
ビルの輪郭が崩れる。
空が裂ける。
重力が曖昧になる。
コメント欄(配信ON)。
「やばい」
「規模が違う」
俺は息を呑む。
「……これが本体」
理解する。
今までの敵とは。
完全に。
別次元。
⸻
“それ”は形を持たない。
ただ。
存在しているだけで。
世界を書き換える。
「……接続する」
声。
直接。
頭の中に響く。
「対象:ユウト・カグラ」
「回収開始」
⸻
その瞬間――
俺の視界が消えた。
「……!」
世界が“切り取られる”。
自分だけが。
別の層に引きずり込まれる感覚。
コメント欄。
「消えた!?」
「ユウトどこ!?」
⸻
だが――
ぐいっ。
引き戻される。
ドン。
密着。
完全に。
「……離さない」
アリア。
腕を強く回す。
俺を現実に繋ぎ止める。
「……戻って」
低く。
だが。
必死な声。
⸻
俺は息を吐く。
「……大丈夫です」
だが――
理解する。
これは。
一人じゃ無理。
⸻
そのとき。
“それ”が動く。
空間全域。
干渉。
都市が崩れる。
コメント欄。
「終わりだろこれ」
「どうすんだ」
⸻
アリアが言う。
「……やるわよ」
俺を見る。
「全部使う」
覚悟。
俺は頷く。
「……はい」
⸻
手を握る。
強く。
今までで一番。
「……離れないで」
小さく。
だが。
震えている。
俺は答える。
「離れません」
⸻
その瞬間。
存在干渉。
発動。
だが――
今までと違う。
“全開”。
⸻
世界が止まる。
音も。
風も。
時間すら。
静止。
コメント欄。
「また止まった」
「でも違う」
⸻
俺は理解する。
「……書き換える」
干渉じゃない。
“再定義”。
⸻
目の前。
“それ”がある。
形はない。
だが。
確かに存在する。
「……触れる」
手を伸ばす。
触れない。
だが――
“重ねる”。
⸻
その瞬間。
世界が震える。
「……!」
“それ”が初めて反応する。
「……異常」
声。
わずかに揺れる。
⸻
だが――
反撃。
一瞬で。
全方位から。
“消去”。
コメント欄。
「無理だろ」
「避けられん」
⸻
その瞬間。
アリアが踏み込む。
俺を引き寄せる。
完全密着。
身体で覆う。
「……触らせない」
低い声。
全力。
⸻
俺は言う。
「……一緒に」
アリアが頷く。
「ええ」
⸻
完全共有。
思考。
感覚。
全部。
“重なる”。
⸻
その瞬間。
見える。
世界の構造。
層。
繋がり。
すべて。
⸻
「……ここだ」
俺が呟く。
アリアが動く。
ザンッ!!!!
⸻
一撃。
“それ”に届く。
初めて。
明確に。
干渉成功。
コメント欄。
「通った!?」
「やばい!」
⸻
だが――
反動。
ドンッ!!
俺の体が揺れる。
「……っ!」
視界が白くなる。
膝が崩れる。
⸻
アリアが支える。
強く。
離さない。
「……無理しないで!」
珍しく。
声が大きい。
⸻
俺は息を整える。
「……まだいけます」
だが。
分かっている。
これ以上は。
危険。
⸻
“それ”が言う。
「……適応」
「危険度:上昇」
空間がさらに歪む。
次の段階。
完全に。
“排除モード”。
⸻
コメント欄。
「終わる」
「無理ゲー」
⸻
俺は笑う。
「……いいですね」
隣を見る。
アリア。
目が合う。
「……やるわよ」
即答。
⸻
手を握る。
強く。
離れない。
⸻
「……これで終わらせる」
俺が言う。
アリアが答える。
「ええ」
⸻
存在干渉。
限界突破。
⸻
その瞬間。
世界が“二重”になる。
現実と。
再定義された世界。
⸻
“それ”が初めて。
明確に。
反応する。
「……干渉レベル上昇」
「危険」
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俺は踏み込む。
アリアと共に。
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最終局面。
⸻
第56話 完




