第55話 再来する“外側”と、並んで立つ意味
「……来る」
その一言で。
空気が変わる。
夜。
訓練施設の屋上。
静かだった風が止まる。
俺は目を閉じる。
「……前より近いですね」
感じる。
“外側”。
明確に。
コメント欄(配信ON)。
「また来た」
「最終決戦?」
アリアが隣に立つ。
距離。
自然にゼロ。
肩が触れる。
そのまま。
指が絡む。
無意識に。
「どこ?」
俺は答える。
「……正面」
その瞬間――
空間が“割れる”。
音もなく。
静かに。
そこから。
あの男。
ゆっくりと現れる。
だが――
違う。
前よりも。
さらに深い。
圧。
コメント欄。
「レベル違う」
「無理ゲー感」
男が言う。
「……準備はできたか」
淡々と。
まるで確認。
俺は答える。
「まあ、それなりに」
男が小さく笑う。
「ならいい」
一歩踏み出す。
「回収する」
宣言。
完全に。
目的は変わらない。
⸻
その瞬間――
空間が沈む。
重圧。
前回以上。
「……っ!」
膝が揺れる。
だが――
今回は違う。
ぐいっ。
引かれる。
ドン。
密着。
完全に。
アリアが支える。
「……立って」
低い声。
だが。
揺れない。
俺は頷く。
「……はい」
⸻
手を握る。
強く。
自然に。
「……離れないで」
小さく。
俺は答える。
「はい」
⸻
次の瞬間。
男が消える。
だが――
「見える!」
完全に。
位置把握。
「右!」
アリアが動く。
ザンッ!!
衝突。
火花。
今度は――
押されない。
コメント欄。
「耐えてる!」
「成長」
⸻
さらに。
もう一撃。
背後。
「後ろ!」
俺の声。
アリアが回る。
ザンッ!!
防ぐ。
完璧。
⸻
男が言う。
「……変わったな」
少しだけ。
興味。
だが。
すぐに。
圧が増す。
「だが足りない」
空間崩壊。
周囲の景色が歪む。
ビルの輪郭が消える。
コメント欄。
「世界壊れてる」
「やばい」
⸻
俺は目を閉じる。
集中。
存在干渉。
発動。
だが――
一人じゃない。
「……行きます」
アリアが頷く。
「ええ」
⸻
共有。
完全に。
繋がる。
「……軽い」
負荷。
分散。
動ける。
⸻
俺は空間を撫でる。
ズレを整える。
流れを変える。
崩れた世界が戻る。
「……!」
男が止まる。
初めて。
明確に。
「今!!」
アリア。
最大速度。
ザンッ!!!!!!
⸻
命中。
⸻
だが――
男は動じない。
浅い。
「いい」
一言。
そして。
一歩踏み出す。
「だが――」
その瞬間。
空間が“反転”する。
上下が逆になる。
重力が消える。
コメント欄。
「意味わからん」
「物理崩壊」
俺の体が浮く。
制御できない。
「……っ!」
その瞬間。
アリアが掴む。
強く。
引き寄せる。
ドン。
完全密着。
「……離れないで」
強く。
今までで一番。
俺は答える。
「はい」
⸻
そのまま。
二人。
同時に。
干渉。
上下を修正。
重力を戻す。
「……!」
世界が安定する。
⸻
男が初めて。
わずかに笑う。
「いい」
認める。
「そこまで来たか」
⸻
その瞬間。
背後。
さらに。
“何か”が現れる。
気配。
桁違い。
俺は凍る。
「……もう一人?」
アリアも感じる。
「違う」
低く。
「……これが本体」
コメント欄。
「きた」
「ラスボス」
⸻
影。
姿は見えない。
だが。
存在だけで。
世界が歪む。
「……よく来た」
声。
どこからでもない。
全方位。
「観察は終わりだ」
その一言で。
空気が変わる。
完全に。
“次の段階”。
⸻
男(執行者)が一歩下がる。
「ここからは」
一言。
「別格だ」
⸻
俺は息を吐く。
「……なるほど」
隣を見る。
アリア。
視線が合う。
迷いなし。
「……やるわよ」
俺は頷く。
「はい」
⸻
手を握る。
強く。
完全に。
重なる。
⸻
存在干渉。
次の領域へ。
⸻
戦いは。
“世界そのもの”へ。
⸻
第55話 完




