第54話 制御と距離、重なり続ける理由
「……無理」
俺はその場に膝をついた。
屋内訓練場。
GEOが用意した特別施設。
壁も床も、すべて強化素材。
それでも――
ひびが入っている。
「……やりすぎ」
アリアがすぐに寄ってくる。
ぐいっ。
腕を引かれる。
ドン。
密着。
完全に。
そのまま支えられる。
「……だから言ったでしょ」
低い声。
少しだけ怒っている。
俺は苦笑する。
「いや、今のはいいところまで――」
「ダメ」
即答。
そのまま。
離さない。
コメント欄(非公開訓練ログ風)。
「完全に管理されてる」
「でも正解」
⸻
数時間前。
訓練開始。
リゼが言っていた。
「今のままだとさ」
軽く。
「勝てないよ」
真顔で。
カイも頷く。
「力はある」
だが――
「制御が足りない」
正論。
俺も分かっている。
「……ですね」
⸻
アリアが一歩前に出る。
「やるわよ」
短く。
その目。
完全に本気。
「私も入る」
共に。
鍛える。
俺は頷く。
「お願いします」
⸻
訓練開始。
存在干渉。
発動。
だが――
「浅い!」
リゼの声。
「それじゃズレしか見えてない!」
カイが続ける。
「流れを読め」
「固定するな」
矢継ぎ早。
完全に実戦レベル。
⸻
俺は集中する。
「……流れ」
ズレだけじゃない。
その“先”。
未来。
予測。
「……見える」
その瞬間。
空間の歪みがはっきりする。
「今!」
俺が叫ぶ。
アリアが動く。
ザンッ!!
完璧な一撃。
リゼが笑う。
「それそれ」
だが――
次の瞬間。
負荷。
ドンッ!!
「……っ!」
膝が落ちる。
視界が揺れる。
完全に。
限界。
⸻
現在。
「……だから無理しないで」
アリアが小さく言う。
近い。
かなり。
顔が。
ほぼ目の前。
「……分かってます」
俺が答える。
その瞬間。
アリアが少しだけ目を細める。
「分かってない」
即否定。
だが――
そのまま。
額を軽く当ててくる。
「……ちゃんと考えて」
声が近い。
完全に。
“二人だけの距離”。
⸻
そのとき。
リゼが横から笑う。
「完全にそういう距離だね」
カイが一言。
「今さらだ」
俺は苦笑する。
「聞こえてますよ」
⸻
リゼが真面目な顔になる。
「で、結論」
一言。
「“共有”が鍵」
俺が聞く。
「共有?」
カイが説明する。
「お前一人でやるな」
「負荷を分散しろ」
そのとき。
視線がアリアへ。
「できるだろ」
当然のように。
アリアは即答。
「できる」
迷いなし。
⸻
俺は言う。
「……じゃあ」
アリアを見る。
「もう一回」
アリアが頷く。
「ええ」
⸻
手を握る。
強く。
自然に。
もう。
迷いはない。
「……離れないで」
小さく。
だが。
柔らかい。
俺は答える。
「はい」
⸻
再び。
存在干渉。
今度は――
一人じゃない。
“二人”。
「……軽い」
負荷が違う。
明らかに。
「いける」
俺が言う。
アリアが答える。
「ええ」
⸻
空間が変わる。
ズレ。
流れ。
すべてが見える。
「そこ!」
俺が指示。
アリアが動く。
ザンッ!!
完璧。
⸻
さらに。
深く。
干渉。
「……これなら」
限界が伸びる。
その瞬間。
リゼが叫ぶ。
「そこまで!」
強制停止。
俺たちは動きを止める。
⸻
リゼが言う。
「それ以上は壊れる」
冷静に。
カイも頷く。
「今はここまでだ」
⸻
俺は息を吐く。
「……分かりました」
その瞬間。
アリアがまた寄る。
ドン。
密着。
完全に。
「……無理しないで」
小さく。
俺は笑う。
「はい」
⸻
そのとき。
アリアが少しだけ迷う。
そして――
そのまま。
肩に寄りかかる。
自然に。
「……こうしてると」
小さく。
「安定する」
正直な言葉。
俺は少し驚く。
だが。
すぐに答える。
「じゃあ、このままで」
その瞬間。
アリアがほんの少しだけ笑う。
「……そうね」
⸻
リゼが呟く。
「もう完全に完成してるね、それ」
カイが一言。
「崩れない」
⸻
俺は空を見る。
「……次は」
アリアが言う。
「勝つわよ」
即答。
迷いなし。
俺は頷く。
「はい」
⸻
存在干渉。
制御。
共有。
そして――
二人。
完全に。
並ぶ。
⸻
戦いは。
最終段階へ。
⸻
第54話 完




