第38話 深層の圧と、格の違う存在
「……ここ、さっきより重い」
深層。
空気が完全に変わる。
息が詰まるような圧。
コメント欄(配信)。
「ヤバい」
「別次元」
「帰れなくなるやつ」
俺は息を整える。
「今までの比じゃないですね」
隣。
アリア。
腕を絡めたまま。
密着。
だが。
視線は鋭い。
「当然」
短く。
「ここからが本番」
そのとき。
前を歩くカイが止まる。
「来るぞ」
低い声。
瞬間。
空間が歪む。
出現。
⸻
Sランクモンスター:歪界騎士レグナス
⸻
数。
多い。
そして――
一体一体が強い。
コメント欄。
「無理ゲー」
「数おかしい」
リゼが即座に動く。
ドローン展開。
「解析完了」
「弱点、胸部」
指示。
効率的。
カイが動く。
一瞬。
消える。
ザンッ!!
気づいた時には。
数体が崩れている。
コメント欄。
「は?」
「見えない」
アリアが小さく呟く。
「……速い」
俺も頷く。
「別格ですね」
そのとき。
アリアが手を握る。
強く。
「でも」
少しだけ目を細める。
「負けない」
宣言。
俺は笑う。
「はい」
そのまま。
踏み込む。
連携。
距離ゼロ。
感覚共有。
ザンッ!!
ザンッ!!
歪界騎士を次々撃破。
コメント欄。
「この二人もおかしい」
「完成してる」
撃破。
ドロップ。
⸻
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
⸻
コメント欄。
「10個」
「安定」
リゼ側。
ポン×8
カイ。
ポン×2
コメント欄。
「差出るな」
「ドロップやば」
カイがこちらを見る。
無言。
だが。
明らかに。
興味を持っている。
「……その力」
小さく。
「確率じゃないな」
核心。
コメント欄。
「バレた」
「来るぞ」
俺は苦笑する。
「まあ、そんな感じです」
カイは一瞬だけ考える。
そして。
「いい」
それ以上追わない。
だが。
次の瞬間――
空気が変わる。
もっと重い。
「……来る」
アリアが呟く。
その瞬間。
地面が崩れる。
落下。
視界が反転。
そして――
着地。
そこは。
完全な別空間。
⸻
深層:虚界断層
⸻
コメント欄。
「エリア変わった」
「ボス前」
中央。
立っている。
一体。
異様な存在。
⸻
SSランク:断界王ヴァル=ゼノス
⸻
圧。
今までと桁が違う。
息が詰まる。
コメント欄。
「無理」
「ラスボス級」
リゼが小さく笑う。
「いいね」
「これくらいじゃないと」
カイは無言で前に出る。
「俺が行く」
一言。
そして。
消える。
ザンッ!!
一撃。
だが――
ヴァル=ゼノス。
動かない。
無傷。
コメント欄。
「効いてない」
「は?」
カイが初めて眉を動かす。
「……硬いな」
そのとき。
リゼが言う。
「単純火力じゃ無理」
「位相ズレてる」
解析。
アリアが言う。
「……タイミング合わせる」
俺を見る。
「いける?」
俺は頷く。
「合わせます」
その瞬間。
アリアが少しだけ寄る。
「離れないで」
小さく。
だが。
強い。
俺は答える。
「はい」
戦闘開始。
ヴァル=ゼノスが動く。
速い。
見えない。
一瞬でカイが弾かれる。
「っ……!」
リゼが支援。
ドローン破壊される。
コメント欄。
「やばい」
「全員押されてる」
そのとき。
アリアが動く。
「今!」
声。
俺も動く。
距離ゼロ。
完全同期。
ザンッ!!
だが。
浅い。
通らない。
その瞬間。
カイが横から入る。
「合わせろ」
短い指示。
三人。
連携。
初めての。
完全共闘。
リゼが解析。
タイミング共有。
「次、来る!」
その瞬間。
全員同時に動く。
カイ。
正面。
リゼ。
支援。
俺とアリア。
核心。
「終わり!!」
ザンッ!!
命中。
空間が揺れる。
ヴァル=ゼノス。
崩れる。
⸻
撃破。
⸻
静寂。
そして――
ドロップ。
⸻
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
⸻
コメント欄。
「15個」
「異常」
リゼ。
ポン×11
カイ。
ポン×3
コメント欄。
「差えぐい」
カイが息を吐く。
「……なるほど」
そして。
初めて。
少しだけ笑う。
「面白い」
そのとき。
アリアが俺の手を握る。
強く。
少しだけ。
いつもより。
強く。
「……」
無言。
だが。
分かる。
“取られたくない”
そんな感情。
俺は軽く握り返す。
「大丈夫ですよ」
小さく。
アリアがちらっと見る。
そして。
ほんの少しだけ。
安心したように。
力が抜ける。
「……当然」
コメント欄。
「守った」
「関係強い」
リゼがそれを見て。
ニヤッと笑う。
「やっぱり面白い」
カイは無言。
だが。
完全に認めている。
⸻
深層。
まだ奥がある。
戦いは終わらない。
だが――
三つの線は。
確実に交わり始めていた。




