第34話 勝者の余韻と、近すぎるその先
「――配信、終了」
画面が暗転する。
その瞬間。
静寂。
ダンジョン最深部。
「……終わりましたね」
俺は小さく息を吐く。
全身の力が抜ける。
隣。
アリア。
「ええ」
短く。
だが。
その声。
いつもより柔らかい。
コメント欄(アーカイブ待機)。
「伝説」
「歴史」
「覇権確定」
俺は苦笑する。
「とんでもないことになってますね」
アリアはスマホをちらっと見る。
ランキング。
⸻
1位:ユウト&アリア(圧倒差)
2位:リゼ
⸻
「当然でしょ」
さらっと。
コメント欄。
「強すぎる」
「女王」
そのとき。
アリアがゆっくりとこちらを見る。
「……ね」
「はい」
「勝ったわよ」
当たり前の言葉。
でも。
どこか。
少しだけ。
嬉しそうで。
俺は笑う。
「はい」
その瞬間。
ぐいっ。
引き寄せられる。
ドン。
密着。
完全に。
今までと同じ。
でも――
どこか違う。
「……もっと」
小さく。
「喜びなさいよ」
少しだけ不満そう。
コメント欄。
「来た」
「甘サド」
俺は苦笑する。
「じゃあ」
少しだけ顔を近づける。
「やりましたね」
その瞬間。
アリアが一瞬固まる。
距離。
近い。
かなり近い。
「……」
沈黙。
数秒。
コメント欄。
「距離」
「やばい」
アリアの目が揺れる。
ほんの少し。
そして。
小さく呟く。
「……そういうの」
「不意打ちやめて」
珍しく。
弱い声。
だが。
離れない。
むしろ。
ほんの少し。
寄る。
コメント欄。
「逆に近づいた」
「もう秒読み」
俺は苦笑する。
「すみません」
その瞬間。
アリアが言う。
「……でも」
少し間。
「嫌じゃない」
はっきり。
コメント欄。
「確定」
「もう終わり」
そのまま。
静かな空気。
距離。
ほぼゼロ。
呼吸がかかる距離。
俺は少しだけ動く。
さらに。
近づく。
「……」
アリアの目が見開く。
だが。
逃げない。
そのまま。
じっと見てくる。
「……来るの?」
小さく。
挑発。
でも。
声が少し震えている。
コメント欄。
「行け」
「行け」
俺は止まる。
あと少し。
ほんの少し。
そのとき。
アリアが目を細める。
「……できるなら」
「やってみなさい」
甘サド。
だが。
完全に受け入れてる。
距離。
あと数センチ。
沈黙。
長い。
そして――
俺は少しだけ笑う。
「……今はやめときます」
その瞬間。
アリアが固まる。
完全に。
コメント欄。
「は?」
「やめた!?」
次の瞬間。
ぐいっ!!
引き寄せられる。
ドン!!
さっきより強い。
「……は?」
低い声。
「なんでやめるの?」
完全に怒ってる。
でも。
顔。
赤い。
コメント欄。
「逆ギレ」
「最高」
俺は苦笑する。
「ここでやったら」
「もったいないじゃないですか」
その瞬間。
アリアが止まる。
「……」
数秒。
そして。
顔を逸らす。
「……バカ」
小さく。
だが。
怒ってない。
むしろ――
照れてる。
コメント欄。
「完全勝利」
「甘すぎ」
そのまま。
少し静かな空気。
アリアが小さく言う。
「……次」
「逃げないでよ」
俺は笑う。
「逃げません」
その瞬間。
アリアがほんの少し笑う。
「……ならいい」
そして。
そのまま。
肩を預けてくる。
完全に。
寄り添う。
⸻
その頃。
別の場所。
リゼ。
一人。
屋上。
夜景。
「……負けたなぁ」
空を見上げる。
ため息。
だが。
表情は暗くない。
むしろ。
どこか楽しそう。
「でも」
スマホを見る。
ランキング。
1位。
ユウト&アリア。
「いいね」
小さく笑う。
「ちゃんと勝った」
そして。
目を細める。
「だからこそ」
「面白い」
そのまま。
呟く。
「次は」
「別の形で行くよ」
新章の予感。
⸻
ダンジョン。
出口へ向かう二人。
距離。
ゼロ。
指。
絡んだまま。
リング。
光る。
関係は。
もう。
誰にも揺るがせない。
だが――
その先。
まだ続く。




