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『俺だけドロップ率∞のバグスキル持ちだった ~底辺探索者のダンジョン配信が、いつの間にか世界最強チャンネルになっていた~』  作者: やまご


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第31話 揺れる前夜と、繋ぎ止める距離

大会まで、あと三日。


探索者施設・トレーニングルーム。


「もう一回行くわよ」


アリアの声。


いつもより鋭い。


「はい」


俺は剣を構える。


ザンッ!!


打ち合い。


速い。


正確。


だが――


「……少しズレてる」


俺が呟く。


アリアが一瞬止まる。


「何が?」


「タイミングです」


正直に言う。


「ちょっとだけ早い」


数秒の沈黙。


コメント欄(練習配信)。


「ピリついてる」

「珍しい」


アリアは目を細める。


「……そう」


そして。


もう一度構える。


だが。


今度は――


少し荒い。


ザンッ!!


「……!」


俺が受ける。


だが。


やっぱりズレてる。


「ストップ」


俺が手を上げる。


アリアが不機嫌そうに見る。


「何?」


「今日はここまでにしましょう」


その瞬間。


空気が変わる。


「……は?」


低い声。


「まだできる」


「いや」


俺は首を振る。


「今はやめた方がいいです」


アリアが一歩近づく。


「どういう意味?」


距離。


近い。


だが。


今は少し違う。


圧がある。


「……」


俺は少し考える。


そして。


言う。


「焦ってますよね」


その瞬間。


アリアが固まる。


完全に。


コメント欄。


「言った」

「核心」


数秒の沈黙。


そして。


視線を逸らす。


「……別に」


だが。


分かる。


明らかに。


違う。


俺は一歩近づく。


「大丈夫ですよ」


その瞬間。


アリアが反応する。


「大丈夫じゃない」


初めての否定。


少し強い。


「……あいつ」


リゼの名前は出さない。


だが。


分かる。


「簡単に来る」


「崩しに来る」


小さく。


吐き出すように。


コメント欄。


「初弱音」

「レア」


俺は少しだけ驚く。


そして。


ゆっくりと。


手を取る。


「……」


指が触れる。


絡める。


自然に。


「負けませんよ」


小さく。


アリアが顔を上げる。


「……なんで言い切れるの?」


「簡単です」


俺は笑う。


「アリアさんと一緒だから」


その瞬間。


アリアが止まる。


完全に。


そして。


ゆっくりと。


視線を逸らす。


「……」


沈黙。


数秒。


コメント欄。


「効いた」

「またやった」


そのとき。


ぐいっ。


引き寄せられる。


ドン。


密着。


だが。


今までと違う。


強さがない。


ただ。


寄りかかるように。


「……ずるい」


小さく。


「そういうの」


だが。


離れない。


むしろ。


少しだけ。


寄せる。


「……でも」


「効く」


素直。


コメント欄。


「完全デレ」

「支えられてる」


俺は苦笑する。


「それならよかったです」


そのまま。


少し沈黙。


落ち着いた空気。


そのとき。


アリアが小さく言う。


「……ね」


「はい」


「負けたらどうする?」


珍しい質問。


弱気。


俺は即答する。


「負けません」


「だから仮の話です」


「それでも」


少しだけ強い声。


俺は考える。


そして。


答える。


「負けても」


「変わらないですよ」


「何が?」


「関係です」


はっきりと。


その瞬間。


アリアが固まる。


そして。


ゆっくりと。


こちらを見る。


「……ほんとに?」


「はい」


即答。


「どんな条件でも」


「それは変わりません」


沈黙。


そして。


ぐいっ。


引き寄せられる。


今度は強い。


「……なら」


小さく。


「絶対負けない」


その目。


もう揺れてない。


コメント欄。


「復活」

「戻った」


俺は笑う。


「はい」


そのとき。


スマホ通知。


ピロン。


表示される。



『ランキング変動』



現在。


1位:ユウト&アリア

2位:リゼ(急上昇)


コメント欄。


「来てる」

「仕掛け始まった」


俺は息を吐く。


「もう始まってますね」


アリアが言う。


「関係ない」


そして。


手を握る。


しっかりと。


「勝つだけ」


迷いなし。



その頃。


別の場所。


リゼ。


モニターの前。


複数の配信画面。


データ。


分析。


「……うん」


小さく頷く。


「やっぱりそこ弱点」


ニヤッと笑う。


「距離が近い分」


「崩しやすい」


そして。


画面を操作する。


「じゃあ」


「壊してあげる」


その目。


完全に本気。



トレーニングルーム。


二人。


距離。


ゼロ。


だが。


今は違う。


ただの距離じゃない。


“繋ぎ止める距離”だった。


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