第25話 割り込む距離と、崩させない関係
「……なんか静かですね」
夕方の街。
アリアと並んで歩く。
指。
絡んだまま。
自然に。
完全に。
コメント欄(配信)。
「安定」
「もう夫婦」
俺は苦笑する。
「だいぶ慣れましたね」
アリアは小さく言う。
「慣れて」
そして。
ほんの少しだけ。
寄る。
「……そのままでいて」
コメント欄。
「きた」
「デレ継続」
そのとき――
「へぇ」
声。
振り向く。
リゼ。
目の前。
近い。
かなり近い。
「随分落ち着いてるじゃん」
コメント欄。
「来た」
「逆襲」
俺はため息。
「また来ましたね」
リゼは笑う。
「うん」
そして。
一歩。
詰める。
その瞬間。
アリアが動く。
ぐいっ。
引き寄せ。
ドン。
密着。
「触らないで」
低い声。
完全ガード。
コメント欄。
「即反応」
「守る」
リゼは肩をすくめる。
「そんな警戒しなくても」
だが。
次の瞬間。
速い。
消えた。
「っ!?」
そして。
――後ろ。
「ねえ」
耳元。
「油断しすぎ」
ゾクッとする距離。
コメント欄。
「裏取り」
「強い」
その瞬間。
ぐいっ!!
アリア。
俺を引く。
前へ。
再び密着。
「離れなさい」
声が鋭い。
リゼは笑う。
「やだ」
そして。
今度は正面。
俺の手を取る。
「こっち来て」
ぐいっ。
引かれる。
アリアも引く。
左右。
完全に引き合い。
コメント欄。
「またこれ」
「物理バトル」
「ちょ、ほんとやめて!」
俺が止める。
だが。
二人とも離さない。
リゼの声。
少しだけ低い。
「ねえ」
「ちゃんと考えた?」
「本当にそれでいいの?」
アリアの手。
少しだけ強くなる。
「……いいに決まってる」
だが。
その声。
ほんの少しだけ。
揺れる。
コメント欄。
「初揺れ」
「きた」
リゼは見逃さない。
ニヤッと笑う。
「ほら」
「今揺れた」
アリアが一瞬黙る。
その隙。
リゼが一気に引く。
ドン。
「っ……!」
今度は。
リゼ側へ。
距離。
近い。
かなり近い。
顔。
数センチ。
コメント欄。
「奪った」
「逆転」
リゼが囁く。
「ねえ」
「ほんとにそれでいいの?」
甘い。
だが。
逃がさない声。
「私の方が」
「面白いよ?」
完全誘惑。
その瞬間。
アリアの声。
「……離して」
低い。
だが。
今度は違う。
強さがある。
迷いがない。
一歩。
踏み出す。
「この人は」
一瞬。
言葉を区切る。
そして。
はっきり。
「私といる人だから」
コメント欄。
「再宣言」
「確定」
リゼが目を細める。
「へぇ」
そして。
少しだけ笑う。
「じゃあさ」
一歩下がる。
「証明してよ」
その瞬間。
空気が変わる。
ゴゴゴ……
街の一角。
ダンジョンゲートが開く。
異常発生。
コメント欄。
「イベント」
「やばい」
現れる。
⸻
突発ボス:カオス・グリフォン
⸻
市街地近接型。
危険度SS。
人々がざわつく。
リゼが笑う。
「ちょうどいい」
「勝負ね」
アリアが即答。
「いいわよ」
そして。
俺の手を取る。
しっかりと。
「離れないで」
今度は強い。
迷いなし。
コメント欄。
「完全ヒロイン」
戦闘開始。
グリフォンが飛ぶ。
急降下。
リゼが迎撃。
アリアが連携。
俺が追撃。
だが。
問題は――
距離。
戦いながら。
二人とも。
距離を詰めてくる。
右から。
左から。
触れる。
引く。
寄る。
コメント欄。
「距離戦争」
「意味わからん」
アリアが後ろから引く。
「こっち」
密着。
そのまま斬撃。
リゼが横から引く。
「違うよ」
また近い。
「集中しろって!」
俺が叫ぶ。
だが。
止まらない。
そのまま。
ラスト。
「終わりだ!」
ザンッ!!
討伐。
⸻
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
ポン
⸻
コメント欄。
「20個」
「最大更新」
その中。
虹を超える光。
鑑定。
⸻
ユニークスキル
「確定未来」
レア度
EX+++
⸻
コメント欄。
「終焉」
「神」
静寂。
その中で。
アリアが。
ゆっくりと。
俺の手を握る。
今度は。
しっかりと。
揺れない。
「……ね」
小さく。
「やっぱり」
一瞬。
息を吸う。
「離さない」
今までで一番。
強い声。
コメント欄。
「確定」
「勝ち」
リゼはそれを見て。
少しだけ黙る。
そして。
ふっと笑う。
「……ほんと」
「強いね」
だが。
目はまだ終わってない。
「でも」
振り返る。
「まだ終わらせないよ」
そのまま去る。
アリアはその背中を見て。
小さく呟く。
「……何回来ても同じ」
そして。
俺を見る。
少しだけ。
柔らかく。
「行くわよ」
そのまま。
自然に。
距離ゼロ。
今度は。
揺れなかった。




