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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第九章

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331/349

第331話 追加注文

 刀自古に問われて、思わず不用意な言葉を口にしてしまったことに気付く。照れ隠しのために、卓上のタブレットから「砂糖入りのブラックコーヒー」を追加で注文した。


相楽さがら行政官も、何か追加しますか。ココアにしますか?」


「何でココアなんですか?」


 結局、刀自古はアメリカンコーヒーを追加する。



 追加注文した飲み物が届くまで、暫しの間二人は沈黙する。刀自古がココアに反応しなかったことで、御堂は少しだけ気が晴れたように感じていた。

 卓上に届いた砂糖入りのブラックコーヒーを一口だけ、御堂は啜った。


「南部方面軍とガルーダ部隊の叛意は明らかです。それは、あたし自身が肌で感じました」


 コーヒーカップを置き、両の拳を膝において、御堂は背筋を伸ばした。


「南部方面軍とガルーダ部隊は、罰せられないといけません。第3戦団が自らの手で、それを果たせれば、皇城府だって和解に応じて『帝の敵』を撤回すると思うんです」


 帝国の首都・不死鳥ふしちょう京には、ガルーダ部隊から離反した戦艦『蒼天そうてん』の幹部13名が保護されている。

 彼らの証言では、ガルーダ部隊の叛逆は藤崎ふじさき司令官の一存だったことになっている。一方で、太后おおきさきのように「第3戦団そのものの叛逆」として処理したがっている一派もある。

 射流鹿も、太后と同じ考えである。


「だから、貴女が第3戦団に入団して、中から南部方面軍とガルーダ部隊を罰するように仕向ける……と言うのですか?」


「……」


 声には出さないが、御堂は力強く頷いて見せた。


「無理です」


「どうして?」


 思わず大声になる御堂に対して、刀自古は平静だった。その理由を説明しようと言う素振りもない。その態度に、自分が小馬鹿にされたと感じられてムッとする御堂。


「第3戦団にも、東城准将のように『本気で戦いを止めよう』としている人がいるんです。統括司令官の周防崎大将だって、そう思うから帝への親書をしたためたんじゃないですか?」


「戦いを止めたいのは本当でしょう。でも、彼らは、身内を処断することはできません。結局、何もしないと同じです」


「え……それじゃあ」


 御堂には、刀自古が言わんとする意味が理解できない。御堂の、口を開けたままの間の抜けた顔を見た刀自古が、ため息をつく。


「第3戦団は、身内を罰するよりも、皇城府と戦うことを選ぶでしょう。覚悟を持って戦うわけではありません。ズルズルと決断を先延ばしにするうちに、抜き差しならない状況になリますよ」


 その説明が、更に御堂を混乱させる。

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