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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第九章

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第328話 面接をキャンセル

 御堂と刀自古の2人は、ラインゴルドが用意した軍用ヘリで一足先に本庄郷ほんじょうごう領の第1戦団基地へ戻された。

 基地を出て、路線電車を乗り継いで本庄郷ほんじょうごう領の首都へ向かうことになっている。


「本当にいいんですか。月夜見様に面接して貰うために、ここまで来たのに」


「……ん、まあ」


 客室キャビンに一人で待っていた刀自古は、御堂がA級0061(ジークフリード)機で出撃したことを聞かされて驚いた。しかし、戻ってきた御堂が突然「面接はいいから帰る」と言い出しのは、更に驚かされる。

 何を訊いても煮え切らない返事をする御堂に、刀自古は「隠し事」の臭いを感じ取る。それも、かなり危険な臭いである。電車の到着を待つ間、駅構内のカフェに入ってから刀自古は御堂を問い詰めた。


「実は、第3戦団に誘われたんです」


「はい?」


 会談の場から、射流鹿と月夜見が立ち去った後で、第3戦団中央本部の東城准将が御堂に声を掛けてきたのだと言う。



 御堂から、格納庫周辺での状況を聞いた刀自古はある程度の予想を組み立てる。

 ペルセウス型重甲機兵は、純然たる南部方面軍の戦力ではなく、反帝派と繋がる帝国外勢力の部隊だろう。日嗣皇子暗殺に失敗して、万が一にも「皇城府と第3戦団の和解」が成功しないように、より対立を激化させるために「使者である東城准将」の方を亡き者にしようとしたと考えられる。

 その帝国外勢力から、御堂は東城准将を庇ったことになる。



 東城准将は、B級ペルセウスから自身を庇った機体のパイロットが御堂であると気付き、その礼を伝えると共に、行動を賞賛した。


「我らは帝の敵とされ、皇城府とは不本意ながら敵対する立場にある。にも拘わらず、我を守るために身を賭してくれたことに感謝する。持てる力を、ただ弱き者を守るために使う貴官の純朴なる精神に敬意を表したい」


 そして、御堂が士官大学の卒業を控えて任官先がないことを知るや、第3戦団への入団を誘ってきたのだと言う。


「まさか……その誘いを受けるつもりではないですよね?」


 呆れながらも、刀自古は確認する。月夜見に申し込んだ面接をキャンセルしたと言うことは、相当に気持ちが傾いているに違いないのだ。


「あたし……初めて、誰かを守るために戦えたんですよ」


 御堂は、小さく口の中で呟く。それは、刀自古の耳には届かなかった。


「え? 何ですか?」


 もう一度問い質されて、御堂は別の口実を探して口にしてしまう。


「このままでは皇城府と第3戦団の内乱になっちゃいます。帝国は混乱して、多くの人が戦火に巻き込まれてしまいます。それを止めたいんです」

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