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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第九章

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318/349

第318話 会談の場で

 生存者の処刑を終えたB級ジークフリードは、11番機を守るように取り囲んだ。11番機のコクピットから、パイロットスーツの月夜見が降りて来て、射流鹿の側に向かうのが見えた。

 射流鹿と月夜見が揃うタイミングを見計らい、カイザーが歩み寄った。


「この度は、大変ご面倒をおかけしました」


 この場の警備は、ラインゴルドの責任である。それが、会談のために招いた日嗣皇子自らを戦いに参加させてしまった。しかも、日嗣皇子の第1戦団への根回しと11番機の活躍がなければ、勝利はなかったかも知れない。


「いや。ラインゴルドからの適切な情報提供のおかげだ」


 頭を下げていたカイザーが、月夜見が声に顔を上げる。

 仮面を付けた月夜見の顔が、カイザーの後方に向いていた。仮面によって目元が隠れているため、その視線は読めない。しかし、東城准将と柳沢大佐を見ていると察せられた。


「予定は大幅にズレましたが、会談を行うことでよろしいでしょうか?」


「ラインゴルドの金儲けに協力すると約束した。ラインゴルドが金を受け取ったのなら、お互いに約束を果たそうではないか」


 仮面で見えないが不機嫌ではなさそうだ。月夜見にとっては、この戦闘は予測の範囲内であったらしい。


「ありがとうございます」


 月夜見に礼を言ってから、カイザーは東城准将と柳沢大佐の元へ戻る。


「念を押しておきますが、約束の時間は10分です。それでは、参りましょう」


「おい、待て!」


 東城准将の声は聞こえたが、カイザーは無視して先に立って歩く。

 日嗣皇子と月夜見が立っている場所には、つい数分前に処刑された南部方面軍パイロットの死体が放置され、そのままになっている。

 そして……日嗣皇子の足下には、左胸を軍刀で貫かれた大崎中佐が俯せの状態で倒れている。大崎中佐の生死を案じてのことだとわかっていたが、それをカイザーが答える必要はない。


「第4戦団統括司令・羅侯らごう射流鹿いるか少将と副官の有馬ありま月夜見つくよみ大佐です」


 東城准将と柳沢大佐に、射流鹿と月夜見が紹介された。

 しかし、東城准将の耳にはカイザーの声は届いていない。日嗣皇子の足下に倒れている大崎中佐に駆け寄って、脈を確認していた。

 既に、大崎中佐に脈はない。その場で目を伏せ、短く黙祷する。

 大崎中佐の死を確認した東城准将が立ち上がる。それを待っていたカイザーが、東城准将と柳沢大佐を射流鹿と月夜見に紹介した。


「第3戦団中央本部所属の戦艦『グリフォン』艦長・東城とうじょう賢治けんじ准将と副官も柳沢やなぎさわしん大佐です」


 この時点で、東城准将の頭には血が上りかけていた。

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