第314話 生存者7名
「この戦闘の犠牲者は、何人か?」
口を開いた東城准将が、最初に問いかけたのはその質問だった。
「さあ? 正確な数字はわかりません」
S33中継基地を襲撃してきた重甲機兵兵は、第一陣と第二陣を合わせて12機。その内で複座型GV3型B級ジークフリードが1機、他は単座型のベルセウス型重甲機兵であった。パイロットは13名だったはずである。
生存しているパイロットが7名なら、5人のパイロットの命が失われたことになる。
それから戦艦『ワイバーン』から金塊を運んで来た空中移送機は、30人の東城准将の部下を乗せた状態で、11番機に撃墜された。機体の骨組みさえ焼け溶けている空中移送機に生存者がいるとは思えなかった。
「7名でも、生存者がいたのは不幸中の幸いだ」
東城准将は、遣る瀬なさに顔を顰める。
しかし、その言を聞いたカイザーの心境はもっと複雑だった。
早期に格納庫の地下シェルターに誘導された東城准将は、南部方面軍のB級ペルセウスがターミナルビルを攻撃したことを知らない。ビームの攻撃を受けたターミナルビルと、その盾となった戦艦『胡蝶』の被害に関しては、まだ報告が届いていない。
徒に民間施設を戦渦に巻き込むような連中の生存を『幸い』とは思えなかった。
生存した7名のパイロットのうち3人は、ターミナルビルの攻撃に向かいラインゴルドの重甲機兵と戦った3機のB級ペルセウスのパイロットだった。一方、第4戦団と戦ったB級ペルセウスの生存者は2名のみ。それと、GV3型B級ジークフリードの大崎中佐と佐藤大尉が生存者の中にいた。
武装を解除された7名は、ラインゴルドの白兵戦部隊に連行される形で発着路のアスファルトの上に集められた。
「大崎!」
大崎中佐の姿を見咎めた東城准将が走り出そうとするのを、カイザーが制する。
「これは、第3戦団の組織内の問題である! 貴官に、俺を止める権限はない」
「今回の卑劣な戦闘行為は、第3戦団中央本部の仕掛けた策であったと言うことですか?」
「……!」
カイザーの指摘に、東城准将は押し黙る。中立的な会談の場を襲撃したこと、民間施設を攻撃対象としたこと……それらは星間協定が禁止する『卑劣な戦闘行為』に該当する。
その報復には『無制限かついかなる法の制約を受けない』自由な軍事行動が認められる。
今は、第3戦団中央本部がその共犯者となるかどうかの瀬戸際……と言う意味だ。
「東城准将。ここは、堪えて下さい」
地下シェルターから60名の下級兵士と共に地上に戻った柳沢大佐も東城准将の前に立ち塞がった。




