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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第九章

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310/349

第310話 カイザー機:戦闘

 S33中継基地北西部の芝生の上が、カイザー機とA級ペルセウスの戦いの場となっていた。広い芝生の広場は、滑走型の航空機が滑走路で減速できなかった場合の不測の事態に備えるために配置された広く平らな地面である。

 17メートルの鋼の巨人が剣で戦うにも十分な広さがある。足場も良い。


「各部アクチュエーターの電圧は許容値に収まっています。機体の損傷は装甲板のみ、素体構造へのダメージはありません」


「OKだ」


 カイザーは、A級ジークフリードの両手を打刀うちがたなグリップに添えた。そして右肩に寄せる……右肩に剣を担ぐようにも見える八相構えである。

 メインモニター正面に映るA級ペルセウスは、右手で握るロングソードの剣先を下に向け、腹部の高さにあげた左腕の凧型盾カイトシールド鳩尾みぞおち辺りを隠している。あくまで積極的には戦わず、カイザー機の攻撃を躱して時間を稼ぐつもりのようだ。


「さすがに、もうアンタの相手は飽きたよ。そろそろ終わりにしようぜ」


 カイザー機の右脚が大地を蹴る。それと同時に脚部と腰部の副推進装置スラスター主推進装置ブースターが発光した。装甲の隙間から流れ出す光粒子が一文字の線を引き、カイザー機の機体は、A級ペルセウスに向かって一直線に滑空する。

 A級ペルセウスも脚部と腰部の副推進装置スラスターを点火して後退する。後退しながら左腕を胸の高さにあげて凧型盾カイトシールドにコクピットのある胸部を隠した。


「遅いんだよ!」


 カイザー機の装甲の隙間から流れ出る光粒子の帯が上に伸びた。

 副推進装置スラスター主推進装置ブースターを最大出力にして、飛び上がったのだ。左腕の凧型盾カイトシールドを飛び越えて、カイザー機の右脚が、A級ペルセウスの顔面部を蹴りつけた。

 予期しなかった攻撃に、A級ペルセウスがバランスを崩して蹌踉めく。そして、足蹴りの後で着地した衝撃に、カイザー機も僅かにバランスを崩していた。


「バランス回復。各部アクチュエーターもOKです」


 ベルーナの状況報告と共に、カイザーは機体が立ち上がらせた。

(SVとしての腕は上の部だな)

 若干遅れてA級ペルセウスも体勢を立て直した。しかし、兜のバイザー部が砕けて、素体構造の顔面が剥き出しの状態となり、更に右の機械眼球が壊れている。

(最初から、こうすれば良かったんだよな)

 カイザーは若干の後悔を覚えた。指揮官っぽいことをしよう……と考えるよりも、目の前にいる敵を叩き潰せば良かったのだ。

 メインモニターのA級ペルセウスが、左腕の凧型盾カイトシールドを排除して、ロングソードを両手で握った。

 A級ペルセウスも、決着をつける気になった……とカイザーは判断する。

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