第307話 時間の問題?
11番機は、交戦していたB級ペルセウスを退ける。B級ペルセウスは、喉元部分のセンサー回路の集中する部分を太刀で貫かれて戦闘不能となった。
戦意を失い、大地に膝をつくB級ペルセウス……喉元を貫いた太刀を引き抜く11番機の右手が途中で止まった。
太刀の角度を変えて、胸部装甲奥のコクピットに向かって、太刀をもう一度突き刺す。
機体の駆動音が止まった。
……キンキン
……キンキン
金属質の甲高い音……緊急停止したZCF機関が強制冷却される音である。コクピットが、突き刺された太刀によって破壊されたのだろう。パイロットも死亡した可能性が高い。
「パイロットは生かしておかないつもりか?」
「今の彼らの目標は、こちらの被害を大きくすることです。この状況では、何をしてくるかわかりません。どんな小さな不安要素も、確実に排除します」
最悪、11番機に抱き付いて機体を自爆させる可能性もある。射流鹿の判断は、適切だと月夜見も思う。
11番機は、機械眼球をA級0061機を攻撃しているB級ペルセウスに向け、その方向へ歩き出す。
11番機が無傷で、B級ペルセウスを屠ったことで、両軍の均衡は崩れた。南部方面軍の瓦解は時間の問題だろう。
青柳も、こちらへ歩いて来る11番機を確認して胸を撫で下ろす。
グワーン!!
刹那。激しい振動が、A級0061機のコクピットを見舞った。
「!」
B級ペルセウスが、その頭部をA級0061機の顔面にぶつけてきたのだ。不意の衝撃に、機体が後ろへ仰け反る。
……メキッ
……メキッ
A級0061機の機体は緩く揺れながら軋みをあげる。
「御堂准尉!」
B級ペルセウスは、A級0061機が横倒しにした手楯に両手をかけて、それを退かそうとしてした。それをさせまいと、A級0061機は手楯を強く押さえる。手楯を奪い合う形で、2機の重甲機兵は力比べをしている格好になっていた。
手楯の裏側には、東城准将がいるのだ。
「戦艦『グリフォン』艦長! シェルターに戻って!」
青柳の絶叫を余所に、東城准将は『停戦せよ』のサインを出し続けている。
11番機のSユニットで、月夜見はB級ペルセウスの思惑を推測した。
「東城准将は、今回の『日嗣皇子暗殺計画』が南部方面による騙し討ちか、それとも中央本部の指示かを証言する生き証人だ」
「東城准将が亡き者となれば、第3戦団中央本部を主犯にできると?」
「いち方面軍の叛逆より第3戦団中央本部が叛逆する方が、帝国を混乱させられる……帝国外勢力なら、そう考えるだろう」




