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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第九章

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305/349

第305話 動物的直感

 A級0061(ジークフリード)機は、巨大な手楯を縦に構えて、その後ろに機体を隠していた。その、縦に構えていた手楯を横にして、格納庫の非常口を覆った。


「!」


 B級ペルセウスの胸部から放たれた対人レーザーを、手楯を横倒しにして間一髪で止めたのだ。

 人間の反射速度が、レーザー光線の速度に優るはずはない。非常口から出てきた人影とB級ペルセウスの挙動から、本能的に「B級ペルセウスが、非常口から出てきた人間を狙う」と察したのである。

 御堂の動物的な直感と反射神経は、やはり群を抜いている……Sユニットで青柳は感心した。しかし。


「御堂准尉! 何をやってるんですか?!」


 非常口から出てきた人間を庇うために、手楯を横倒しにしたために、A級0061(ジークフリード)機の腰から上が無防備に晒されることになったのだ。

 B級ペルセウスは、再びロングソードを振り上げた。



 ペルセウス型重甲機兵が装備するロングソードは、ジークフリード型重甲機兵の打刀うちがたなに比べて斬撃は大きくない。切れ味よりも、剣の重さによる衝撃力で破壊するタイプの武器である。

 振り下ろされる剣の角度と軌道を読んで、僅かな動きでA級0061(ジークフリード)機は打撃の芯を外す。最も装甲の厚い肩部装甲で受け止められれば、大きな損傷には至らない。ここでも、御堂の動物的な直感と反射神経が発揮される。


「でも、これでは……」


 一方的に攻撃を受け続けるこの状況では、長い時間は耐えられない。

 機体の損傷を最小にして帰還するのが最優先な状況では、避難者を犠牲にしても機体を保全すべきなのだ。

 しかし、同時に「B級ペルセウスの行動」に青柳は疑問を抱く。


「何故、わざわざ生身の人間を狙ったの?」


 非常口から出てきた人物の分析を管制AIに行わせる。

『第3戦団中央本部軍所属、東城とうじょう賢治けんじ准将』

『三連型陸上戦艦グリフォン艦長』

 そして、日嗣皇子に会談を申し入れた将校である。

 南部方面軍は、当初から格納庫にビームを撃ち浴びせていた。格納庫に避難した者たちを狙っていたのか?



 同様の疑問を、11番機でも月夜見が抱いていた。

 御堂ならば、生身の人間がレーザーで撃たれるのを黙って見ていられないのは想像できる。敢えて、生身の人間を狙うことで、A級機体を無防備な状態にさせたとすれば、B級ペルセウスのパイロットは慧眼けいがんである。

 しかし、御堂がCユニットにいるのは偶然だ。


「青柳の判断に任せるしかないか」


 追従してきたB級ペルセウスと交戦中の11番機は、格納庫から離れている。格納庫から出てきた人物を特定できる映像は得ていなかった。

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