第302話 シェルターの中
格納庫へ避難した東城准将と戦艦『グリフォン』搭乗員は、地下のシェルター施設に収容されていた。
「静かになりましたね」
地上の空中移送機発着路での戦闘は、剣による格闘戦に移行した。そのためビーム砲の乱射がなくなり、ビームの被弾による爆発がしなくなる。地下にいる彼らには戦局の落ち着きを期待させた。
副官である柳沢大佐の声に、東城准将も頷いた。東城准将は、地下シェルターの入口に立っているラインゴルドの兵士に歩み寄る。
「外の様子は、どうなっているのか?」
ラインゴルド兵が覗き込むモニターには、格納庫の監視カメラが捉える外部の映像が映し出されていた。ラインゴルド兵が、東城准将にもモニターが見えるように身体を退けてくれる。
「すまないな」
ラインゴルド兵に礼を言い、モニターの映像を覗く。
第3戦団南部方面軍の所属章をつけたB級ペルセウスが、B級ジークフリードと剣での格闘戦を展開しており、B級ジークフリードの胸には青地に黒不死鳥の紋章がある。
「青地の黒不死鳥は、第4戦団の紋章に間違いないのか?」
ラインゴルド兵はあっさりと頷いた。今更ながら、南部方面軍が第4戦団と敵対状態にあることを追認させられ、唇が歪む。カメラを切り替えて、他の映像にも目を通す。
A級ジークフリードが、南部方面軍の所属章をつけたA級ペルセウスと戦っている。カイザー指揮官の機体だろう。
ターミナルビルの前では、3機のB級ペルセウスを8機のB級ジークフリードが追い詰めている。東城准将がモニターを見ているうちに、3機のうち1機のB級ペルセウスが撃破された。
「既に戦局は決したではないか。何故、ラインゴルドは降伏勧告をしないのだ?」
東城准将は、ラインゴルド兵の胸座を掴んだ。これ以上戦いを続けることは、徒に犠牲を増やすだけだけだと思ったのだ。
東城准将の脳裏には、赤塵の荒野で第4戦団と遭遇した時の記憶がよみがえる。協議の申し入れを無視して、一方的に『降伏』を勧告してきた。更に、容赦なく戦艦『グリフォン』を砲撃し破壊したのである。
日嗣皇子は「勝利」よりも「殲滅」すること目的にしていないか?
「カイザー指揮官にラインゴルドの重甲機兵を退くように伝えてくれ。南部方面軍の指揮官は、俺が必ず説得する」
東城准将には「ラインゴルドの過度な武装が、南部方面軍を刺激した」と思えていた。ラインゴルドが重甲機兵を退けば、南部方面軍も退くはずだ……そうなれば南部方面軍の指揮官を説得できるはずである。




