第299話 衝撃?
「A級ペルセウスに集中する。他の戦闘は一切気にするな!」
カイザーは、ベルーナに厳命した。本来なら地の利を有した本拠地での戦闘のはずが、足下を見られるような展開で後手後手を踏まされている。
それだけ指揮官機である、眼前のA級ペルセウスの指揮能力が高いのだ。それを排除するのが最も適当な選択肢である。
「了解しました。A級ジークフリードの機体制御に集中します」
ベルーナの返事に、カイザーは頷いた。
御堂の絶叫が、A級0061機のコクピットに響き渡った。
「ぎゃああああああ!」
A級0061機が機体を隠す巨大な手楯に、B級ペルセウスは体当たりを仕掛けてきたのだ。およそ100トンの物体が時速60キロメートルで激突する衝撃が、手楯を伝わりA級0061機を震わせた。
「大丈夫ですか?」
御堂はパイロットスーツを着ていないのだ。しかも、ゼナ・クリスタルとの接続のために上半身は裸である。内臓がひっくり返るような衝撃とシートに身体を固定する安全ベルトとの摩擦熱に、思わず悲鳴を上げていた。
パイロットスーツには、ゲル状の衝撃吸収材が封入されていて、コクピットでの衝撃を吸収しパイロットの肉体を保護してくれる。半裸状態で機体に搭乗することで、パイロットスーツの有り難みを実感していた。
「帝国のパイロットスーツって高性能だったのね」
「喋らないで下さい。舌を噛みますから」
青柳に言われて、御堂は反射的に口を結ぶ。
「座っているシートの左下に緊急用のマウスピースがあるはずです。それを口に入れて噛んでいて下さい」
「それじゃあ、喋れないわ」
「わたしの指示が聞こえていれば十分です」
SVの指示に絶対服従を約束しているのだから、確かにその通りではある。舌を噛んで一大事になるよりはマシと思いつつ、それだけでは「寂しい」気分だった。
マウスピースを口に入れてから、Sユニットとの通信用マイクをトントンと二回叩く.……OKのサインである。
「正面、来ますよ」
メインモニターには、ロングソードを手にするB級ペルセウスが眼前に映っていた。B級ペルセウスの右手が、ロングソードを頭上に振り上げる。
(できるだけ、近づいてやる!)
振り下ろされるロングソードを、手楯を微かに退きながら受け止めて間合いの内側に入り込んだ。これで次の斬撃に力を入れ難くなったはず。
後方から2機のB級ペルセウスが迫っているはずだ。1機だけ先行したB級ペルセウスと接近していれば、さき程のような体当たり攻撃を受けないで済む。




