第295話 戦況の変化
11番機は、発着路の南側から北へ向かう。
11番機の接近に気付いたA級ペルセウスは、すぐに信号弾を撃ち上げた。それに応じて、東側の格納庫周辺で戦っていたB級ペルセウスが11番機の行く手を阻む。
第4戦団のB級ジークフリードも、11番機を守る位置に移動した。
3機のB級ペルセウスは、ライフル型ビーム砲を捨ててロングソードを携えた。11番機との格闘戦を行うつもりらしい。しかし、11番機の前には第4戦団のB級ジークフリードが展開した。
B級ペルセウスとB級ジークフリードは、11番機の眼前で格闘戦に突入する。結果として、11番機がカイザー機の支援に向かうのを足止めすることに成功する。
「B級ペルセウスの練度は低い。第4戦団の敵ではない」
月夜見はB級ペルセウスの動きを分析し、断言した。予言の如く、B級ペルセウスはB級ジークフリードに圧されていく。不利と悟ったB級ペルセウスの1機は、放棄したライフル型ビーム砲を拾って格納庫を攻撃し始めた。
避難している『グリフォン』搭乗員らを人質にする……との意思表示だろうが、射流鹿がそれに留意することはない。第4戦団のB級ジークフリードは、攻撃の手を緩めることなく残る2機のB級ペルセウスを追い詰める。
11番機の機械眼球が、格納庫の前で手楯を掲げてビームを受け止めているA級ジークフリードを視た。
射流鹿は、人質を守る必要はないと考えている。
『帝国の帝は、卑劣な取引には応じない』
人質を取っての交渉など卑劣であり、その返答は剣によってのみ行う。卑劣な交渉に屈すれば、それを有効と判断した敵は、更に増長し、より被害を大きくする。
射流鹿もそれが正しいと考えている。
「ラインゴルドの2機を戦闘に戻すためですから、今回は仕方ありません」
Cユニットが未調整であるなら、戦える状態ではない。それでも出撃してきた点は、その勇気を褒めるべきかも知れない。
「なかなか無謀なパイロットも採用していたのですね」
「……」
A級ジークフリードのCユニットにいるのが、御堂であると予想している月夜見は黙っている。月夜見にも、射流鹿に説明のしようがない。
カイザー機と対峙するA級ペルセウスが、また信号弾を撃ち上げた。
この信号弾で、ターミナルビルを攻撃していたB級ペルセウス、格納庫周辺で戦闘していたB級ペルセウスの両方が反応した。
「ベルーナ! 敵の動きは?」
「えーと……ターミナルビル方面のB級ペルセウスが発着路に移動してます」
ベルーナは、状況把握に手間取っていた。




