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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第九章

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第293話 現状把握

 格納庫の1棟は、ちょうど球技を行うスタジアムくらいの大きさで、かなり大きい。御堂のA級機体は、その入出口のシャッター前に立って手楯を前に出した。

 Cユニットから補助カメラで機体後方の格納庫の様子を確認する。正面を閉じるシャッターはビームで数カ所に穴が開いていた。


「避難した人達、大丈夫かしら?」


「地下部分が、非常時のシェルターを兼ねているはずです。そこに誘導されていれば大丈夫でしょう」


 最悪、地上部分の構造体が破壊されても何とかなりそうだ……と御堂は思った。

 アリス機とネオン機は、ビームによる誘爆を危惧して手放したロケット砲を拾い上げていた。予備カートリッジが付いている凧型盾カイトシールドを互いに取り付け合って、それからターミナルビルの方向へ向かう。



 この時点で、3つの局地的な戦場ができていた。

 第一の戦場はS33中継基地東エリアである。ターミナルビルの攻撃に向かったB級ペルセウス6機とそれを迎撃に向かったラインゴルドのB級ジークフリード6機。そこに今、アリス機とネオン機が合流に向かっている。

 第二の戦場はS33中継基地西エリアにある空中移送機エアブースター発着路の北側だ。カイザーのA級ジークフリードとA級ペルセウスが対峙している。

 そして、第三の戦場が発着路の東に並ぶの格納庫前で、B級ペルセウス3機と第4戦団のB級ジークフリード3機が戦っている。そこで御堂は、格納庫の前で手楯を掲げて立っている。



 日嗣皇子の11番機は、いずれの戦闘にも参加せず発着路の南側から戦況を俯瞰していた。

 カイザー機と対峙しているA級ペルセウスのバックパックから、複数の信号弾が撃ち上げられる。星間協定に定めのない様式で、独自方式で暗号化されたものと考えられる。当然、どんな命令を出したかはわからない。月夜見は、3地点に分散する南部方面軍の重甲機兵の動きを注視する。

 だが、南部方面軍の重甲機兵よりも『胡蝶』から出撃してきたA級ジークフリードの方が気にかかっていた。


「妙だな」


 11番機のSユニットで月夜見は呟いた。


「ジークフリード型のA級0061機で間違いないが、どうやって戦闘モードを起動しているのだ?」


 SVの青柳に調整を任せていた機体だが、SVだけでは戦闘モードを起動できないはずである。今の『胡蝶』には予備のCRもいない。

(まさか?)

 ようやく月夜見は『入団希望の面接』のために刀自古と御堂を戦艦『胡蝶』に招き入れ、そのまま放置していた件を思い出す。


「あのA級は、Cユニットが未調整だ」


 月夜見は、それだけを射流鹿に伝えた。

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