第286話 ペルセウス部隊
格納庫前に残ることになったアリス機とネオン機は、ビームによって実弾が誘爆するのを防ぐためにロケット砲を捨てて打刀を抜く。
カイザー隊の中で、アリス機とネオン機は『飛び道具』での後方支援専門であるが……苦手な近接戦装備で3機のB級ペルセウスと対峙しなければならなくなった。
「見事に戦力を分断されたな」
11番機のSユニットで、月夜見は小さくため息を漏らす。
射流鹿ならば、S33中継基地を犠牲にしても敵戦力の殲滅を優先するところだが、ラインゴルドはS33中継基地への被害を抑えしようとして、敵の策に振り回されている。
「ラインゴルドの立場では仕方のない対応でしょう」
第1戦団に援軍を求めるために、月夜見は皇城府へ向かった。そのため11番機を動かせない間、ラインゴルドのカイザーに指揮権を委ねたのである。
帝の許しを得て月夜見が戻っても、南部方面軍の策に乗ったフリをするため、カイザーに指揮権を任せたままでこの会談に臨んだ。
ターミナルビルの方向へ向かった6機のB級ペルセウスは、ターミナルビルから1000メートル程度の距離を取って広がった。ターミナルビルの前には盾になるべく戦艦『胡蝶』が停留し、ラインゴルドのB級ジークフリードも『胡蝶』の周囲に並ぶ。
近接戦用の打刀を装備するB級ジークフリードと、ライフル型ビーム砲を撃ち散らすB級ペルセウスの戦いである。重甲機兵の主動力であるZCF機関が発生させる電磁波が、ビームの威力を減衰させる障壁となる。
B級ペルセウスのビーム砲は、B級ジークフリードに致命の損傷を与えられないが、背後のターミナルビルを気に掛けるB級ジークフリードも敵機との距離を詰められず打刀を振るえない。
ビームの流れ弾が、背後の『胡蝶』やターミナルビルを焦がす。
「A級ペルセウスのパイロットは、馬鹿ではないな。陸上戦艦への帰艦が不可能と判断して、せめて施設により大きな被害を与えるための行動に出たようだ」
「重甲機兵の動きから、ラインゴルドに指揮権があるのを見抜いていますね。僕と交渉しようとした大崎中佐よりも状況判断は的確です」
残ったペルセウス部隊が、外国勢力なら正体を露呈させずに玉砕する選択を取る可能性がある……月夜見と射流鹿は、そう判断した。
カイザー機と対峙するA級ペルセウスも戦いを急いでいない。のらりくらりとカイザー機の攻撃を躱して、他のB級ペルセウスの攻撃する時間を稼いでいる。
「仕方ありませんね」
11番機は、GV3型機から奪った打刀を右肩に担く姿勢を取った。




