第285話 予測を裏切る
指揮官機であるGV3型機を失ったB級ペルセウスは、一瞬だけ戸惑う素振りを見せた。しかし、残ったA級ペルセウスのバックパックから撃ち上げられた信号弾で、統率された動きを取り戻す。
「信号弾の様式は第3戦団のものとは違います。暗号化されたもので、内容は不明ですが部隊の動きから指揮権の移譲があったものと考えられます」
「俺は、もう一機のA級ペルセウスを叩く。アリスとネオンには、マグダスの指揮下に入るように伝えろ。マグダスには、S33中継基地と『グリフォン』搭乗員を守らせろ!」
順当なら、残ったA級ペルセウスが指揮官機だろう。
計画していた『日嗣皇子暗殺』に失敗した時点で退却したいだろうが、帰艦する予定の陸上戦艦が第1戦団と交戦中である。
「還る場所がないのなら……できるだけの被害を与えて玉砕か?」
ペルセウスの部隊は、帝国内の反帝派勢力と結んだ外国勢力だろう。正体を知られないために機体を自爆させる可能性もある。
その状況で、S33中継基地およびターミナルビルの安全、そして解放される『グリフォン』搭乗員の生命を守るのは厳しい戦いである。
ライフル型ビーム砲に装備を持ち替えているB級ペルセウスは、東城准将と『グリフォン』搭乗員を避難させた格納庫の南西方向に布陣している。その北東方向への延長線上にはターミナルビルがあり、ビームの流れ弾がターミナルビルに向かう位置に布陣している。
格納庫の前にはラインゴルドのマグダル指揮下のB級ジークフリードが6機が立ち、ビーム砲を持つB級ペルセウスと対峙している。
アリス機とネオン機は後方支援専門で、格納庫に被害が及びかねないロケット砲は撃てない。今は戦力としては除外するしかない。
第二陣で到着したB級ペルセウス6機の標的は11番機のようだ。ロングソードを構えた6機が、11番機を取り囲んでいる。更に、その6機を足止めすべく第4戦団のB級ジークフリード3機がいる。
「とにかく、このA級ペルセウスを片付ける!」
カイザー機とA級ペルセウスの戦闘が始まると、B級ペルセウスのビーム砲の乱射も再開した。
しかし。
ここでもB級ペルセウスは、カイザーの予測を裏切る。
11番機を標的にすると思われた6機の機体は、主推進装置を全開にしてターミナルビルの方向へ移動したのだ。6機は、装備をライフル型ビーム砲に持ち替えていた。
東城准将と『グリフォン』搭乗員の避難先である格納庫を守っていたマグダルは、指揮下のB級ジークフリード6機をターミナルビルの方へ向かわせてしまう。




