第280話 還る場所
複数の空中移送機が、S33中継基地の南の空に現れる。その背には全機ともペルセウス型重甲機兵を乗せている。
「第二陣、B級ペルセウス6機が到着しました!」
GV3型B級ジークフリードのSVである佐藤大尉は、空中移送機とその背に搭乗する重甲機兵の所属章を確認してCユニットに報告する。
「よおし」
Cユニットで、大崎中佐はほくそ笑む。これで南部方面軍の重甲機兵は12機となった。ラインゴルドと第4戦団を合わせた13機に数で迫る。
「ラインゴルドの6機は、ビーム砲を連射しておけば自由には動けまい。このまま第三陣の到着まで時間を稼ぐぞ」
ペルセウス型重甲機兵は、主推進装置と副推進装置で飛び上がる。ライフル型ビーム砲を撃ち散らす機体は、その着地を狙われないよう牽制のために、更に連射は激しくなる。
新たに到着した6機のB級ペルセウスは、大崎中佐のGV3型機の周囲を固めるように発着路に降り立った。
南部方面軍の第二陣が到着する前に「第一陣の機体数を減らしておく」との射流鹿の目論見は果たせなかった。
第二陣の重甲機兵を運んだ空中移送機が早急に帰艦するのは、第三陣を輸送するためだと判断できる。
「第一陣と第二陣の輸送に要した時間は20分くらいですか。陸上戦艦は、遠くにいるわけではないでしょう」
更に6機の空中移送機が揃って戻って来たのは、複数の陸上戦艦が同じ場所に集結していると考えられる。
「カイザーがA級ペルセウス1機に手間取っている間は、第4戦団のB級3機をもう1機のA級に張り付けておくことになるな。今のところ、向こうの思惑通りの展開だろう」
ラインゴルドのB級ジークフリードは、ビーム砲を乱射する機体に足留めされている。
自由に動けるのは11番機だけだが、射流鹿のパイロットしての腕は並レベルでしかない。6機のB級ペルセウスを蹴散らして、指揮官を叩くのは不可能だろう。
月夜見としても、射流鹿に無理はさせたくなかった。
「ここで無理をするつもりはありません」
射流鹿自身も、自分の腕と強さを理解している。敢えて、危ない橋を渡るつもりはなかった。
「南部方面軍は、第二陣でこちらを越える重甲機兵を揃えられませんでした。この時点で、こちらは圧倒的な優位を確保できています」
南の空に、高高度用の信号弾が撃ち上がった。『敵発見』を示す第1戦団のものである。
「第1戦団の陸上戦艦が、空中移送機の2度の発進を見過ごすはずはありません」
続けて『戦闘開始』の信号弾が上がる。
「南部方面軍の還る場所はなくなります」




