↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第九章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
278/349

第278話 カイザーの独り言

 A級ペルセウスは、右腕に握るロングソードを捨てて副武装の戦斧アックスを取り出す。この近距離なら、戦斧アックスによる打撃の方が有利と判断したのだろう。

 小さな装甲板を編み込んだ草摺くさずりを素体に取り付けたジークフリード型の装甲は、中空式のプレートで素体を包み込んだペルセウス型の装甲よりも防御力は低い。更に搭載するZCF(ズィーフ)機関の最大出力もペルセウス型の方が上である。


「瞬間出力もペルセウス型の方が上です。力比べも不利ですよ」


 相変わらず他人事のように客観的事実を述べるベルーナ。


「だったら、距離を取って仕切り直す(・・・・・)方法を考えろ!」


 思わず、カイザーは大声を上げていた。


「では、上体を左に捻って、右肩を敵機の顔の近くに寄せて下さい」


 ベルーナは暢気な声で指示をしてくる。取り敢えず、指示された通りに右肩を突き出すように上体を捻った。

 カイザー機の右肩が爆発して、右肩部装甲が弾け飛んだ。


「!」


 ベルーナは、非常時に肩部装甲を排除する機構を作動させたのだ。火薬による爆発……その白い硝煙がA級ペルセウス頭部の機械眼銃の視界を遮った。

 レーダーなどの電磁的索が使えない重甲機兵は、機械眼球が捉える有視界での映像で戦うしかない。硝煙で視界を遮られたA級ペルセウスは、主推進装置(バーニア)と副推進装置(スラスター)を全開にしてカイザー機から距離を取る。


「先に言え!」


 右肩部装甲を吹き飛ばした反動で、カイザー機もバランスを崩して片膝をついていた。

 適切な状況判断ではあるが、段取りは悪い。更に、CRの神経を逆撫でするような物言いもあり……この新人に、経験を積ませて、教育するには手間が掛かりそうだと思う。



 部隊の指揮には『号令』と『命令』と『訓令』がある。

『何を目的として、どのような行動を取るか』

 目的と行動を示すのが『命令』であり、目的のみを示して行動を末端に任せるのが『訓令』である。逆に、目的を示さずに行動だけを示すのが『号令』だ。

 無線通信が使えない重甲機兵の運用は、信号弾で端的に指示せざるを得ないために『号令』になりがちである。

 しかし、ここでのカイザーのCユニットとベルーナのSユニットは有線通信で繋がっている。目的と行動を、細かく伝達できたはずだ。



「いや、そうでもないな」


 先手を取られた分だけ不利な状況でも、妙に落ち着いた態度は肝が据わっている。それだけでも評価していいし、敵機に目潰しを仕掛ける機転はなかなかだ。


「はい? 何か、わたしやっちゃいました?」


 Sユニットからは暢気の声が返ってくる。


「独り言だ。気にするな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。