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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第九章

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第276話 応戦

「11番機、戦闘モードへ移行しまた」


 外界の音響と気流を拾っているベルーナは、11番機の駆動音が、低いノイズ音から甲高いジェット音に変化したのを確認する。

 腰の太刀を抜く11番機の装甲の隙間から、光粒子が流れ出す。ジークフリード型重甲機兵が搭載する『ひかり放熱機構』は、機体に発生する熱を光に変換して放出することで、熱によるハードウェアへの影響を最小に抑える働きがある。


「日嗣皇子が11番機に搭乗した以上『生身の日嗣皇子を襲撃する』と言う南部方面軍の目論見は失敗だ。これで諦めて、戦力を退いてくれればいいが」


 カイザーとしては、これ以上交戦しないで済むのが一番有り難い。このまま退却してくれるのなら、追撃せずに見逃すつもりだった。

 しかし、第4戦団の3機のB級ジークフリードは、カイザーが対峙していたA級ペルセウスの退路を断つかのように取り囲んだ。11番機も、こちらへ向かってゆっくりと歩き出している。


「日嗣皇子は、この戦場にいる重甲機兵を逃がさないつもりか」


 傭兵としては、可能な限り自軍の消耗を避けたい。戦力を衝突させずに『勝利』の名目を得られるのが最良である。

 しかし、正規軍である第4戦団は『敵を消耗させる』ことが目的になる。



 11番機の機械眼球が、2機のA級ペルセウスの後ろにいるGV3型B級ジークフリードに焦点を合わせた。面頬めんぼおの奥の機械の右眸が冷たく光る。

 ここに布陣する6機の重甲機兵は5機がペルセウス型で、ジークフリード型はこの1機のみだ。この機体が南部方面軍の正式な機体で、幹部将校が搭乗しているものと推測できた。


「敵の指揮官機は、あれですか」


「機体番号はGV3B299か。CRは大崎おおさきケン中佐、SVは佐藤さとうゆう大尉と記録されているな」


 大崎ケンの名前に、射流鹿は聞き覚えがあった。


「ルージュピーク演習場の工廠施設で、僕に斬り掛かってきた将校ですね。その後のナーガオウ州議事堂包囲戦には参加していなかったんですか?」


「ルージュピーク演習場に指揮権を移管する交渉に向かった直後に、入院した記録が残っている。ナーガオウ州議事堂包囲戦には参加していない」


「ああ、そうでしたか」


 斬り返した剣先に手応えを感じたのを思い出した。その傷で入院した結果、ナーガオウ州議事堂包囲戦を生き延びたと言うことか。


「6機の重甲機兵を運んだ空中移送機エアブースターは、すぐに戻りました。おそらく第二陣を運んでくるつもりでしょう。第二陣が到着する前に、6機を撃破します」


 射流鹿は、敵戦力の殲滅を決めていた。

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