第273話 奇襲
装甲の隙間から光粒子を噴き出しながら、白い装甲を纏ったの鋼の巨人が立ち上がる。
ジークフリード型A級重甲機兵。機体番号GAR029の機体が、カイザーの専用機である。
カイザー機の機械眼球が、2機のA級ペルセウスに焦点を合わせる。その2機の後方に、GV3型のB級ジークフリードがいた。
「アリスとネオンに、俺の後方支援をさせろ。他の6機は、マグダスに指揮を任せる」
カイザーの命令を伝えるために、ベルーナが信号弾を撃ち上げる。
信号弾を認識したアリス機とネオン機は、直ちにカイザー機の後方へ移動し、A級ペルセウスにロケット砲の砲身を向けた。
カイザー機とB級2機が、第3戦団のA級2機とGV3を抑えればいい。残る第3戦団のB級3機に対して、マグダス指揮下のB級6機が有利に対応できる。
「日嗣皇子は?」
サブモニターで発着路の様子を確認する。発着路に隣接する場所に3棟の格納庫が並んでいる。その一番南側の格納庫のシャッターが上がり、3機のB級ジークフリードが出てくた。第4戦団の機体である。
日嗣皇子と月夜見は、あの3機のB級ジークフリードが護衛につくだろう。カイザーが後を任せた白兵戦部隊の隊長も、東城准将と残る60人の一般兵を北側の格納庫に誘導している。
日嗣皇子と東城准将らの安全は一応は確保できた。
重甲機兵の数でも優位を得ている。後は、カイザー自身が2機のA級ペルセウスを足止めできればいい。
カイザー機の右腕が、腰の打刀を引き抜く。柄を両手で握り直して、剣先を下に向けた。正面のA級ペルセウスは、左腕の盾を前に突き出して剣を握る右腕は腰の辺りに添えている。カイザー機の後方でロケット砲を向ける2機を警戒して、盾に機体を隠すようにしているのだ。
「カイザー、空中移送機の進路が変です!」
「なに?」
戦艦『グリフォン』の一般兵員30人を乗せた空中移送機は、垂直上昇した後にS33中継基地上空を旋回して『ライバーン』に帰艦するはずだ。しかし、空中移送機は旋回した後に、再び発着路の方へ向かっていた。
「空中移送機は、日嗣皇子のいる方向に進路を向けています!」
「!」
やられた……カイザーは思わず唇を噛んでいた。解放された30人を乗せた空中移送機が、戦いに加わるとは想像していなかった。
第4戦団の3機のB級ジークフリードは、近接戦闘仕様で遠距離射撃の武装はさせていなかった。空中移送機には対処できない。
アリス機が、ロケット砲を空中移送機に向けたが撃つの躊躇してしまう。解放された30人が乗っているからだ。




