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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第九章

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272/349

第272話 襲撃

 戦艦『ワイバーン』からの空中移送機エアブースターが、甲高いエンジン音を響かせる。発着路のアスファルトに吹き付けられた熱風が、地面に伝って東城准将やカイザーに届く。

 空中移送機エアブースターは、ゆっくりと垂直に上昇しはじめる。

 東城准将は、上昇する空中移送機エアブースターから視線を離して、こちらに歩いてくる仮面の女士官と若い男の士官を見つめる。若い男は背筋を伸ばして、歩く姿勢が美しい。

(有馬将軍が鍛え上げたか?)

 月夜見が、日嗣皇子を第2戦団で匿っている……との噂もあったのを、東城准将は思い出す。

 上昇し、遠ざかる空中移送機エアブースターのエンジン音が、幾重にも反響して聞こえて来た。


「!」


 反響ではなかった。

 S33中継基地を取り囲むように、何機もの空中移送機エアブースターが現れた。しかも、その背には重甲機兵を搭乗させている。

 ラインゴルドのB級ジークフリードが、即座に反応して右手のロケット砲を構える。

 空中移送機エアブースターの上の重甲機兵も、バックパックの主推進装置(バーニア)を点火して宙に舞う。


 何が起こっているのか東城准将は困惑する。その隣にいるカイザーは、平静な顔でベルーナに指示を送っていた。


「これは、何事かぁ!」


 東城准将は、カイザーに向き直って大声で怒鳴った。東城准将は、突然現れた重甲機兵はラインゴルドの機体だと思い込んでいた。


「よく見て下さい。胸部の所属章は、第3戦団のものですよ」


「何だと?」


 空中移送機エアブースターから飛び降りた重甲機兵は6機。ジークフリード型が1機で、残る5機はペルセウス型である。その6機の胸部には、緑地の黒不死鳥が描かれている。第3戦団の戦団章だ。



 カイザーは、第3戦団の襲撃を予想していた。それでも、重甲機兵と空中移送機エアブースターをそれぞれ6機も一気に出現して来たのは意外である。

(これほど上手に、機体を隠していたとはな)

 数秒ではあるが、確実に先手を取られてしまったと思う。

 ラインゴルドの白兵戦部隊を指揮する指揮官に、東城准将と残る60人の一般兵を託して自らはA級ジークフリードへ乗り込む。


「敵の重甲機兵は?」


 既にSユニットから送られた情報が、Cユニットのコンソール画面に流れていた。それを確認しながら、腋下部に神経同調ケーブルを接続する。


「A級ペルセウスが2機です。他にGV3型B級ジークフリードが1機、B級ペルセウス3機!」


 ベルーナの報告がCユニットに届く。


「機体制御をCユニットに渡せ。2機のA級ペルセウスは、俺が片付ける!」


 ブゥゥーン……と、脳が揺れる。身体が2重になるような奇妙な感覚の後、全高17メートルの巨人はカイザーと一体化した。

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