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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第九章

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第268話 陸上戦艦ワイバーン

 第3戦団南部方面軍に所属する三連型陸上戦艦『ワイバーン』は、S33中継基地から北方3キロメートルの荒野に停留していた。嵯峨さが州の都市防壁を北から東へグルリと回り込んで来たのは、南部方面軍を追い出す決議をした嵯峨州議会に対する威嚇とも受け取れる。

 偵察用ドローンが撮影した画像を、東城准将に提示する。東城准将は、その艦影を戦艦『ワイバーン』だと確認した。


「第3戦団の緑地に黒不死鳥の戦団旗、それに翼竜を模した紋章は南部方面軍の紀章である。『ワイバーン』に間違いない」


「了解しました」


 東城准将の確認に、カイザーは短く答えた。『ワイバーン』の周辺には、他に陸上戦艦の艦影はない。画像上では、三連型陸上戦艦1隻だけに見える。



 この後の予定として。

 戦艦『ワイバーン』から飛び立つ空中移送機エアブースターが、この発着路に着陸することになっている。ラインゴルドに支払う「会談の口利き料」と「一般兵士90人分の身代金」を、金塊にて届けるためだ。

 その金塊が指定通りの量であると確認できれば、一般兵士90人をその場で解放し、東城准将を日嗣皇子に引き合わせる手筈である。

 南部方面軍は、会談で双方の対等性を要求してきた。

 第3戦団が、東城准将と柳沢大佐の2名であれば、日嗣皇子の側も2名とすること。東城准将と柳沢大佐が、捕囚の身で武装解除されているのだから、日嗣皇子の側も一切の武装をしないこと。

 カイザーは「会談の時間は10分」とし、南部方面軍の2つの要求を受け入れた。



「会談時間が10分とは、世知辛いぞ」


 東城准将は、カイザーを見てニヤリと笑った。


「貴男方と日嗣皇子の警護のために、S33中継基地への一般人立ち入りを禁止してあります。その状態をいつまでも続けられませんから、制限時間を設けさせて頂きました」


「まあ、致し方あるまい」


 親書を渡すだけならば、その時間でも十分ではある。不満を口にしながらも、東城准将は、南部方面軍の要求を受け入れてくれたカイザーに感謝の念を抱いていた。

 会談の場所は、この発着路のアスファルトの上である。双方が対等の立場で話し合うために、この屋外の場所が選ばれたと言う。



 東城准将の耳で、重く鈍い駆動音が近づいて来るのを感じた。

 カイザーの乗機であるA級ジークフリードが、ゆっくりと歩いてくる。A級ジークフリードは、カイザーの側で片膝をついた姿勢で腰を沈め、胸部装甲を開いた。迫り出したコクピットのSユニットからベルーナが立ち上がると、カイザーはOKを示すサインを送った。

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