第230話 幹部会議・相違
都市国家・輝平京の第3戦団本部のある一室で、非公式な幹部会議が行われた。会議の参加者は、第3戦団の東部・西部・北部の各方面軍の司令官と中央本部の統括司令と2名の副司令官である。
非公式と言うことで議事録は残されなかったが、終始罵声が飛び交い、意見の統一は全く望めない状況のまま終了させざるを得なかった。
幹部会議の終了後。
中央本部の統括司令・周防崎竜玄大将は、副司令官・神津元中将と藤崎涼子少将を伴って別室へ移動した。中央本部としての遺志だけでも統一しておきたいと、周防崎統括司令は考えたのである。
第3戦団は追い込まれていた。
皇城府から『帝の敵』宣言を受けた後、第2戦団や第1戦団と契約した傭兵団からの襲撃は今も続いている。各部隊の迎撃態勢が整ったので大きな被害は出なくなったが、傭兵団との戦闘による消耗、更に捕縛された兵士を解放するための身代金支払いが財務を圧迫している。
当初は「捕囚された兵の身代金は戦団が支払う」としていたが、財務状況の悪化のため「佐官以上の上級将校のみ」に限定せざるを得なくなった。それが下士官からの不満を買い、兵の士気低下を招いている。
「この状況では、兵に対する給与の支払いにも支障が出るかと思います。消耗した戦力も補充できる目処が立ちません。各方面軍とも、稼動できる重甲機兵は、規定の8割を割り込んでいます」
神津中将の見解に、周防崎統括司令は顔を歪める。
「現有戦力では、帝国西方域の防衛に支障をきたします。皇城府には、直ちに『帝の敵』宣言を撤回させ、第3戦団の受けた損害に対する補償を請求すべきです」
准将から少将へ昇進した藤崎涼子副司令は、皇城府の非を追求する姿勢を崩さない。その意見に、今度は神津中将が顔を顰めた。
「帝より『南部方面軍討伐の詔』を受けながら、その南部方面軍に与したことが、今回の『帝の敵』宣言を受ける根源ではありませんか」
南部方面軍討伐の『ガルーダ』作戦を指揮したのは、藤崎副司令であった。しかし、藤崎副司令は討伐すべき南部方面軍と合流して、逆に南部方面軍と交戦中の第2戦団と敵対してしまった。
神津中将の指摘は、藤崎少将の判断ミスを批難しているのだ。それに対して藤崎少将も反論する。
「我が第3戦団の主任務は、帝国の西方域の守護です。西方域にあるナーガオウ州に、第2戦団が不当な武力侵攻を企てた以上、第3戦団が叩くべきは第2戦団ではありませんか。そして、その点においては南部方面軍も志を共にしてくれたのです」
神津中将は、藤崎少将のその詭弁に軽蔑を覚えた。




