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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第八章

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222/231

第222話 戦いの後

「GV3X型ジークフリートの部品は、欠片一つ残さず回収しろ」


 興田おきた主任の声が、スピーカーから響き渡る。『朱雀』中央デッキの整備員は、艦を降りて荒野に散らばっていた。総出で赤い砂の上に散らばった破片を回収するためである。

 アルカナ機体『13番機』の実験機であるGV3X(サンダーバード)の設計は、50年を過ぎた現在でも極秘事項だった。


「2時間後、半径200メートルの範囲をナパーム弾で焼却する。それまでに回収できるものは全部回収するんだ!」


 中枢機構の部品も飛び散っている。機密保持のための判断である。



 破壊されたGV3X(サンダーバード)は、中央デッキに運び込まれ、現在は整備用台座に腰掛けている。


「……酷い!」


 中央デッキに残っていた山根エリカ軍曹は、思わず声を上げた。

 戦斧で砕かれた頭部は四散して、顔に相当する部分は残っていない。鳩尾みぞおちの辺りまで食い込んだ斧によって、コクピットのある胸部は引き裂かれている。


「これ……修理できるんですか?」


 縋るような気持ちで、興田主任の答えを待つ。


「B級だからな……何とか修理する術もあるんだが……」


 天然のゼナ・クリスタルを骨格フレームとするA級機体なら修理不能だ。B級機体は、人造ゼナ・クリスタルを合成し直すことで骨格フレーム自体の再生も可能ではある。

 しかし、今は一刻も早くコクピットを取り出さなくてはならない。


「こっちはいい。嬢ちゃんのところへ行ってやりな」


「はい」


 興田主任に促され、エリカは御堂がいるはずの更衣室へ向かった。



 更衣室。

 御堂は、下着姿のままロッカーの前で立ち尽くしている。御堂の頭もようやく落ち着いてきて、何が起こったのかを整理ができてきた。

 GV3X(サンダーバード)のバッテリー残量がゼロになり、戦闘モードが強制解除された。その直後、SV権限で「Cユニットは緊急脱出」をさせられたに違いない。

 戦闘不能になったGV3X(サンダーバード)が撃破される直前に、ネロは御堂を脱出させてくれたのだ。

 バッテリー残量の警告がCユニットに表示されなかった理由も今ならわかる。

 実験機であるGV3X(サンダーバード)には、最初からバッテリー残量を警告する機能は搭載されていなかったのだ。

(青柳少尉もやったんだよね)

 青柳礼子をSVとして迎えた際に、2番機と数度の模擬戦を行った。その時に、およそ1時間の戦闘でバッテリー切れを起こして戦闘モードが強制解除されたことがあった。

(あの時も、警告は出なかった)

 ネロは、バッテリー残量を繰り返し警告してくれていた。それを無視していたのだ。


「サクヤ、大丈夫?」


 エリカが、更衣室の扉を開けて入って来た。


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