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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第八章

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216/219

第216話 戦う理由

 主骨格メインフレームとバランサーに受けた重大な損傷によって、スネーク機は二本の足で立てない状態である。しかし、動かせる両腕で、GV3X(サンダーバード)の右脚にしがみついていた。

 自由を奪われたGV3X(サンダーバード)の背後をタイガー機が襲う。


「御堂准尉!」


 戦いは決着している。敢えて、パイロットを殺す必要はないと思った御堂は、絡み付いたスネーク機の腕を狙う。

 右肘の装甲の隙間から打刀を突き立てた。右肘関節の素体構造が砕けて、右腕がGV3X(サンダーバード)の右脚から離れる。

 右腕が動かなくなったスネーク機は、残る左腕でGV3X(サンダーバード)の右脚を更に強く抱え込む。



 GV3X(サンダーバード)の背中は、ガラ空きだった。そこにタイガー機のロングソードが突き立てられる。

 ガキン!

 真に……間一髪で割って入った061機の左胸部に、タイガー機のロングソードが突き刺さった。蹌踉よろめく061機の背中が、GV3X(サンダーバード)の背中を圧す。


「え?」


 サブモニターにGV3X(サンダーバード)の盾となってタイガー機と組み合う061機の映像が映る。

 胸部装甲を貫いて突き刺さったロングソードは簡単には抜けない。タイガー機はロングソードを手放し、一旦距離を取って武装を戦斧に持ち替える。

 イーグル機もGV3X(サンダーバード)に向かおうとしていたが、それは088機に足止めされていた。



 061機は、GV3X(サンダーバード)の右脚を捉えているスネーク機に打刀を突き立てた。背面バックパックからコクピットを串刺しにする角度である。

 タイガー機が体勢を調えるまでの僅かな時間内にできることは限られる。

 GV3X(サンダーバード)の右脚を抱え込んでいた圧力が消える。スネーク機のZCF(ズィーフ)機関が強制停止した。

 それはコクピットが破壊されたことを意味する。

(……パイロットは?)

 GV3X(サンダーバード)を解放した061機は、左胸部にロングソードが突き刺さったまま、戦斧を構えるタイガー機と対峙する。

 左胸部の損傷がどの程度かは、御堂にはわからなかった。

(今更……何で戦ってるの?)

 既に西門防衛施設もラインゴルドの手に落ちている。勝敗が決しているのに、トーチス傭兵団が戦う理由が御堂には理解できなかった。頭の中が混乱している御堂に、ネロの指示が届く。


GV3X(サンダーバード)は後退して下さい。もうバッテリー残量に余裕がありません。2番機に前に出て貰います」


「え? でも、2番機は左腕が……」


「有本大尉と竜崎中尉なら大丈夫です。バッテリーの切れたB級が前にいる方が足手纏いになりますよ」


 GV3X(サンダーバード)のバッテリー残量は、既に20パーセントを切っている。戦闘モードで高稼動状態を維持できるのは、せいぜい10分から15分程度であろう。

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