第216話 戦う理由
主骨格とバランサーに受けた重大な損傷によって、スネーク機は二本の足で立てない状態である。しかし、動かせる両腕で、GV3Xの右脚にしがみついていた。
自由を奪われたGV3Xの背後をタイガー機が襲う。
「御堂准尉!」
戦いは決着している。敢えて、パイロットを殺す必要はないと思った御堂は、絡み付いたスネーク機の腕を狙う。
右肘の装甲の隙間から打刀を突き立てた。右肘関節の素体構造が砕けて、右腕がGV3Xの右脚から離れる。
右腕が動かなくなったスネーク機は、残る左腕でGV3Xの右脚を更に強く抱え込む。
GV3Xの背中は、ガラ空きだった。そこにタイガー機のロングソードが突き立てられる。
ガキン!
真に……間一髪で割って入った061機の左胸部に、タイガー機のロングソードが突き刺さった。蹌踉めく061機の背中が、GV3Xの背中を圧す。
「え?」
サブモニターにGV3Xの盾となってタイガー機と組み合う061機の映像が映る。
胸部装甲を貫いて突き刺さったロングソードは簡単には抜けない。タイガー機はロングソードを手放し、一旦距離を取って武装を戦斧に持ち替える。
イーグル機もGV3Xに向かおうとしていたが、それは088機に足止めされていた。
061機は、GV3Xの右脚を捉えているスネーク機に打刀を突き立てた。背面バックパックからコクピットを串刺しにする角度である。
タイガー機が体勢を調えるまでの僅かな時間内にできることは限られる。
GV3Xの右脚を抱え込んでいた圧力が消える。スネーク機のZCF機関が強制停止した。
それはコクピットが破壊されたことを意味する。
(……パイロットは?)
GV3Xを解放した061機は、左胸部にロングソードが突き刺さったまま、戦斧を構えるタイガー機と対峙する。
左胸部の損傷がどの程度かは、御堂にはわからなかった。
(今更……何で戦ってるの?)
既に西門防衛施設もラインゴルドの手に落ちている。勝敗が決しているのに、トーチス傭兵団が戦う理由が御堂には理解できなかった。頭の中が混乱している御堂に、ネロの指示が届く。
「GV3Xは後退して下さい。もうバッテリー残量に余裕がありません。2番機に前に出て貰います」
「え? でも、2番機は左腕が……」
「有本大尉と竜崎中尉なら大丈夫です。バッテリーの切れたB級が前にいる方が足手纏いになりますよ」
GV3Xのバッテリー残量は、既に20パーセントを切っている。戦闘モードで高稼動状態を維持できるのは、せいぜい10分から15分程度であろう。




