第215話 撃破・・・しかし
GV3Xの機動力を活かし、スネーク機を間合いの外へ引き離したことで御堂はようやく冷静さを取り戻した。スネーク機の戦い方を把握した御堂は、GV3Xが敵のショートソードの間合いに入る前に構えを取った。
右脚を引いて左肩をスネーク機に向ける。GV3Xは斜めに立ち、打刀の切っ先を下に向けてからゆっくりと後ろへ持ち上げた。
GV3Xの死角に入ろうとするスネーク機は、御堂から見て左方向へ機体を移動させようとする。しかし、それは御堂が敢えて誘った行動だった。
GV3Xの右脚部から砂塵が舞い上がる。
右脚が荒野の地面を蹴ると、左脚が大きく踏み出された。脚部と腰部の推進機関の発光とともに、GV3Xの装甲の隙間から光粒子が流れ出す。
打刀が車輪のように旋回した。その、剣先の一閃が、スネーク機の腰部に向かって横一文字の軌跡を描いた。
(決まった!)
スネーク機は回避を試みた。しかし、御堂の誘いに乗って左方向に移動をしていたために回避が間に合わない。一瞬早く斬撃が、腰部の外装甲を斬り裂いて主骨格まで届いた。
ZCF機関を強制停止させる程には主骨格を壊しきれなかったが、腰部の姿勢制御機構は完全に破壊されていた。スネーク機は二足歩行もできなくなる。
最早、自力で立っていられないスネーク機は両膝をついて、GV3Xの脚下に倒れ込んだ。
『おのれぇ!』
スネーク機のコクピットでの、パイロットの絶叫が重甲機兵の装甲を伝わって荒野に響いたのか……御堂は男の絶叫する声を聞いたような気がした。
「まず一つ!」
しかし、勝利を確信したはずの御堂の背筋が凍り付く。
倒れ込んだスネーク機は、GV3Xの右脚に両腕を絡めてしがみ付いて来たのだ。
「御堂准尉。構いません、背中からコクピットを貫きなさい!」
主推進機関のある背中は、動力供給と複雑な制御用配線を行うために重甲機兵にとって装甲の存在しない部位である。主推進機関を貫いてコクピットを剣で抉ることは比較的容易い。
しかし、御堂はネロの指示に躊躇してしまう。
「もう、戦いの勝敗は決してるのに……なんで今更!」
御堂が躊躇する間に、タイガー機とイーグル機はGV3Xに迫ろうとしていた。スネーク機が犠牲となる覚悟で、敵機の動きを止めているのである。2機のペルセウスもそれに応えようと必死だった。
GV3Xの背後から接近しようとするタイガー機の前に、第2戦団の061機が飛び出す。
御堂は、右脚に掴んで離さないスネーク機の右腕の肘関節部分に打刀を突き立てる。




