第213話 戦闘開始
嵯峨州の防壁西門を出た荒野にて、双方4機の重甲機兵は激突した。まずは前衛と言えるB級機体同士の戦いになった。
GV3Xは、B級ペルセウス機と剣を交えることになる。B級ペルセウス機は、御堂にとって相性の良くない相手かも知れなかった。
パワー重視の機体であるペルセウス型には珍しい、機動性に重きを置く戦いをする機体だった。おそらく脚部と腰部の推進機関に出力を上げるための改造を施しているのだろう。武装も、ペルセウス型標準装備のロングソードではなく、取り回しやすいショートソードを振るう。
小刻みに移動しながら、打撃力は小さいが連続した斬撃を繰り出すB級ペルセウス機は、御堂に必殺の斬撃を放つ溜めを与えなかった。
「ちぃ!」
御堂は思わず舌打ちする。
組み合って剣を交えるなり、小刻みに左右を移動しながら放たれる斬撃を、御堂は半分程度しか打刀で受けきれなかった。装甲の薄いジークフリード型でも致命傷にならない軽い斬撃だったが、矢継ぎ早に機体に傷が増えていくのは精神を削られる。戦闘の主導権を、敵機に奪われかけていた。
先ほどの御堂の舌打ちは、Sユニットに聞こえていた。
「御堂准尉、冷静になって下さい。起動性を高くしたところで所詮はペルセウス型です。GV3Xなら楽に振り切れますよ」
ネロに指摘されて、御堂はハッとする。
B級ペルセウス機の動きを追いかけないで、GV3Xの最大出力で一直線に移動すれば敵機はついて来られない。間合いの距離まで引き離して、仕切り直しすれば良かったのだ。
(先手を取られて、慌てちゃったか)
B級ペルセウス機の推進機関が点火されるのを確認……ほぼ同時に、GV3Xの推進機関も点火し揚力で機体の自重を相殺させる。
B級ペルセウス機の動きを無視して、主推進機関の最大出力でGV3Xは直線移動した。
特別に即応性の高いGV3Xを、ペルセウス型が追従できるはずがなかった。
(しっかりしろ!)
思わず、御堂は自分で自分にカツを入れる。
正直に言えば、御堂は少し戸惑っていた。これまでの戦いと何かが違うのだ。そして、その何かの正体を見極められないでいる。
他の2機のジークフリード型重甲機兵は、各々がタイガー機とイーグル機と交戦している。2機とも、ペルセウス型に対して優位に戦いを進めている。
御堂は補助カメラが捉える2番機をサブモニターで確認した。左腕を失った2番機は、ダラリと下げた右手で打刀を握っている。
(あたしが、2番機の分まで戦わないと!)
しっかりしろ……もう一度、御堂は自分に言い聞かせた。




