第212話 戦闘直前:第2戦団
西門から1500メートルの距離に、軍用輸送車両から立ち上がった4機のペルセウスは菱形に布陣していた。菱形頂点の最奥に布陣するA級ペルセウスは、15メートルの巨大な戦斧を装備している。
それに対峙する第2戦団の4機の重甲機兵は、GV3Xを中心に置き接触通信の回線を開いていた。
「ペルセウス型重甲機兵4機。うち1機はA級です」
GV3XのSユニット。トーチス傭兵団のA級ペルセウスの情報を調べるネロが、その検索結果を確認していた。
『ペルセウス型A級重甲機兵機』
『PX6型式識別番号2001』
機体の来歴や参戦記録を、他の3機と共有を図る。
「現在、イルドラ公国に配備されている機体ですね。戦闘への参戦記録はないため、パイロットは特定できません」
ネロの報告に、御堂は大きくため息をついた。
(また、イルドラなの?)
以前の愛機であったGS4を大破させたのはイルドラ軍のペルセウスとの戦闘だった。嫌な腐れ縁を感じてしまう。
「おそらく……パイロットは、元アルメニア軍のミハエル・ガードナー少将でしょう」
2番機のSユニット・有本大尉が指摘した。
「ミハエル・ガードナー少将ですか?」
ネロは直ちに、その情報で検索し、有本大尉も情報を補足する。
「一昨年、第2戦団はアルメニア国軍と交戦しました。その時の指揮官機が、巨大な戦斧を主武装にしたミハエル・ガードナー少将のA級ペルセウスでした」
A級ペルセウス機は、2番機により撃破された。そして敗北したアルメニア国軍を見限ったガードナー少将は、イルドラ公国に亡命したとが記録されている。
亡命先のイルドラ軍で新しい機体を得て、使い慣れた戦斧に武装を改修したと言うことらしい。
「帝国への復讐のために、祖国を捨てて戦い続けているわけですか。ご苦労なことですね」
画像にある3機のB級ペルセウスは、左右の肩部装甲に「蛇」、「虎」、「鷲」の絵柄をペイントしている。
「敵のB級機体を便宜的にスネーク機、タイガー機、イーグル機と呼称します。信号弾を使う場合にはそれぞれ赤、黄、青の識別色で、A級機体はグレーの識別色とします」
併せて2番機と共に派遣された2機のB級ジークフリードを、061機と088機として管制AIに識別させた。
「指揮官がガードナー少将であるなら、第2戦団に対しては強烈な復讐心を持っていると思われます。降伏するよりも、差し違える覚悟で挑んでくると考えておくべきでしょう。敵兵の投降は、有り得ないと考えておいて下さい」
ネロの、最後の一言は御堂への忠告のつもりだった。




