第205話 西門・地下工廠
西門のドライエリアから防衛施設の地下工廠へ侵入した3機のB級ジークフリードは、激しい抵抗を受けていた。地下工廠にいた兵士たちは、武器を手に取ってラインゴルトの重甲機兵に攻撃を仕掛けている。
生身の兵士が使用できる対重甲機兵用の武器は限られる。その中でも、対重甲機兵用ロケット砲は強力だった。装甲の薄い部分を直撃すれば、素体構造に損傷を与えられる。
ラインゴルトの重甲機兵は、生身の兵士の対重甲機兵用ロケット砲に足止めされていた。しかし、生身の兵士が応戦していると言うことは、ここに重甲機兵がいないことを意味していた。
残る1機は既に移動して、奇襲を仕掛ける用意をしている……地下工廠の戦況報告を受けたネロは、そう判断した。
「御堂准尉、他の2機と接触回線を開いて下さい」
ネロの指示を受けて、御堂はGV3Xの両腕を、ドライエリア周辺の地上で待機している2機の機体の肩に乗せる。
Sユニットと2機の間に、接触通信が開かれた。
西門・防衛施設の地下部分は、地下をはしるバイパス道路から物資の搬入ができるように複数箇所で連結している。その搬入路を逆に進めば、地下工廠から地下バイパス道路へ出て、ラインゴルド部隊の背後に回ることも不可能ではない。
むろん、全高17メートルの重甲機兵で移動できる路線は限られる。ネロは、予測されるルートと出現可能な地点の情報を他の2機と共有した。
「ついさっき合流した第2戦団の3機とも、この情報は共有しなければなりません。2番機にはR211機が、R222機は支援に回った2機へ伝えて下さい」
ラインゴルド領でも、GV3型機やGV4型機はライセンス生産されている。機体番号の前に「R」があるのはラインゴルド領で製造された機体である。
R211機とR222機のパイロットは、ネロの指示に「了解」の返信を送る。
「彼らは、西門・施設や嵯峨州の地下バイパス道路の図面を持っていないはずです。サポートして下さい」
ネロ自身も、第3戦団が西門を占拠したとの情報を受けてから、嵯峨州の中央行政機関へ要請して入手したものである。不確かな情報で駆けつけた2番機らが持っているはずはない。
R211機は2番機の方へ、R222機は2番機を後方で支援するB級の方へ移動しようとする。刹那!
ドーン!
爆発音が響いた。機体の外環境の音を拾う集音装置が、機体内に伝える際に自動的にフィルターを働かせるレベルの大音響だった。
「……!」
ネロも御堂も、一瞬言葉を失う。2番機の左半身が黒煙に包まれていた。




