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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第八章

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202/231

第202話 勝利の覚悟

 西門前の大広場。2番機は第3戦団のB級ジークフリード1機を屠ってから、残る一機と対峙していた。

 両機の距離は30メートルに満たない。2番機が一歩踏み込めば、その剣はB級ジークフリードの急所に届く。この距離にまで接近された時点で、竜崎中尉より遙かに剣技の劣るB級ジークフリードのパイロットに勝ち目はなかった。


「あなた方にも勝機はあったんです」


 竜崎中尉は、Cユニットで独り言を呟いていた。ここでの「あなた」は、第3戦団を指しているのだろう。


嵯峨さが州の都市を人質にするのなら、2番機の降下に気付いた時に都市を火の海にすれば良かったんですよ。立ち上る黒煙で視界を塞がれたら、わたしと有本様でも着地する場所を変更するしかありませんでした」


 視界だけではない、炎による上昇気流で大気の密度も音響の響き方も変わる。光学的センサーが使えない重甲機兵は、音と大気密度で周囲の環境を把握する。それを乱されれば、優秀な有本大尉でも正確な位置の予測はできなかっただろう。


日嗣皇子ひつぎのみこがナーガオウ州で州議事堂を包囲した時には、本気で州都を焼き払うつもりだったんですよ。その程度の覚悟もなしで、こんな戦術を選んだあなた方に、妾たちが負ける要素はありません」


 この独り言は、Sユニットの有本大尉にも聞こえてはいない。対峙しているB級ジークフリードにも聞こえているはずはなかった。しかし、竜崎中尉の威圧感は、2番機の装甲から滲み出すように、敵機にプレッシャーを与えていた。

 B級ジークフリードが粒子ビーム砲を投げ捨てて、投降の意思を示す信号弾を上げた。機体が、片膝をついて胸部装甲を開く。迫り出すコクピットから立ち上がって両手を上げた。


「ふふん。今更、投降ですか?」


 第3戦団には皇城府から『帝の敵』が宣言されている。第2戦団は、第3戦団に対して生殺与奪の権も得ていた。竜崎中尉は、コクピットごとパイロットを握り潰すつもりで2番機の右腕を伸ばす。


「待て」


 それを察した有本大尉が、竜崎中を制止する。


「西門の防衛施設を占拠している第3戦団の兵士たちに、これから投降を呼びかけるはずだ。今は、投降を受け入れる寛容さを示しておけ」


「……有本様がそう仰るなら、そう致します」


 声音には不服の感が籠もってはいたが、有本大尉には従順に従う。コクピットに伸ばした右手の人差し指で下に向けて、パイロットに「地表に降りる」よう指示を示す。

 昇降用ワイヤーでパイロットが地表に降りた後、無人となったコクピットを2番機の右手が握り潰した。

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