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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第八章

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200/243

第200話 ネロの打算

 西門の大広場を遠巻きに監視していたGV3X(サンダーバード)の近くに、2機の空中移送機エアブースターが着陸した。搭乗していたのは『朱雀』で、2番機の指揮下にいるGV4である。

 2番機が仕掛ける奇襲のために、合流を求める信号弾を敢えて上げなかったようだ。GV4が、GV3X(サンダーバード)の左肩に腕を触れさせて接触回線を開いた。


「これより、2番機以下3機はラインゴルド傭兵機団の指揮下に入ります」


「指揮下に入るって、かなり勝手にやってらっしゃるようですけど?」


「……竜崎中尉ですので」


 そう言われて、ネロ自身も思わず納得してしまう。

 まあ、いいだろう……とネロは考える。第2戦団との戦闘で都市に被害が出ても、それはラインゴルド傭兵機団のせいではない。都市への賠償や補償が発生するなら、第2戦団か皇城府に対応を押しつけられる。



 第3戦団の2機のジークフリードは、2機ともにビーム砲を2番機に向けて連射している。


「あら?」


 この近距離ならば、粒子ビーム砲を捨てて打刀を抜くはず(・・・・・・・)と思っていた竜崎中尉は、2機のジークフリードの戦い方に少し困惑する。


「あくまで、粒子ビーム砲を手放さないつもりでしょうか?」


「練度が低いために、武装の切り替えができないのかも知れないな」


 2本の腕を有する人型兵器の利点は、状況に応じて武装を持ち替えられることだと言える。そのために重甲機兵は、火器装備で出撃する場合でも標準装備の剣は必ず携帯している。

 既に敵機は、2番機の剣の間合いに入っていた。それでも剣を抜かずに粒子ビーム砲を、2番機に撃ち続けている。


「早く片付けておけ。光学兵器のエネルギーを減衰させると言っても、バリアーを張っているわけではない。マグレ当たりも有り得るからな」


「承知しました」


 右脚の踏み込みに合わせて、バックパックの主推進装置(バーニア)をフル出力にする。



 対峙していたジークフリードのパイロットの眼には、主推進装置(バーニア)の強烈な閃光に残像を残して接近する2番機は瞬間移動したように見えた。

 2番機の突き入れた剣の切っ先は、腹部で金属板を組み合わせる垂れ(・・)垂れ(・・)の隙間を突いてコクピットを下から貫いた。



 2番機が第3戦団の1機を屠ったタイミングで、ネロはGV3X(サンダーバード)に信号弾を撃ち上げさせた。『突入せよ』の合図である。

 西門の防衛施設周辺に散らばっていた5機のジークフリードは一斉に施設を目指して移動し始める。


「3機と聞いていたのに、あと1機しかいませんよ?」


 ラインゴルドの動きを意に介さない竜崎中尉は、獲物が予定より少ないことだけを気にしていた。

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