第199話 2番機の奇襲
「上空! 何かが降下してきます!」
更に予想外の事態が発生する。思わずネロが大声を出してしまった。
「ええ?!」
GV3Xの頭部が上を向く。機械眼球が空を見上げた。
機械眼球の捉えた映像が、画像解析されて1つの機影を確認した。空中移送機ではない、重甲機兵の機影である。
(まさか、成層圏から飛び降りたの?)
上空から降下してくる存在に、第3戦団のジークフリードも気付く。上空の機影に向かって粒子ビーム砲を乱射し始めた。
(ってことは……味方機?)
撃つ先が空であれば、どれだけ乱射してくれてもOKである。この手があったか、と御堂は感心した。後の疑問は「誰か?」である。
「2番機です!」
管制AIが、ZCF機構の固有音を照合した結果がSユニットに表示された。第2戦団の2番機で間違いない。
「空中移送機で成層圏まで上昇して、そこから飛び降りたってことですか?」
「それしかないでしょう。確かに成層圏まで上がれば、音でも空気の流れでも覚られないし、粒子ビームでの狙撃もできないですね」
重甲機兵は光学兵器に耐性があるが、空中移送機は違う。粒子ビームに狙撃されない距離を取る必要があった。
A級機体のパイロットでも、成層圏から飛び降りて無事に地表へ着地するよう主推進機関をコントロールするのは難しい。
「粒子ビーム砲なら恐くはない。このままB級の近くに着地するぞ」
「はい」
第3戦団のB級ジークフリードは、降下してくる2番機に粒子ビーム砲を連射していた。主推進機関が如何に強力でも、自由落下している100トンの機体を臨機応変には動かせない。地上からのビーム束は、かなりの数が2番機に命中している。
しかし、ZCF機構の発生させる電磁波が光学兵器のエネルギーを大きく減衰させてしまうため、致命のダメージにはなっていない。
西門は前には大広場があって、第3戦団のジークフリードはその大広場を占拠するように立っている。2番機は、大広場に繋がる全幅20メートルの大道路へ着地した。厳戒態勢下で交通が制限されているため大道路を通る車両はない。
大道路に光粒子が降り注ぎ、その光の海から2番機が立ち上がった。
「ちぃ、敵機とかなり離れた。やれるか?」
「やります」
敵機との距離は120メートル。
腰部と脚部の推進機関が発光した。重甲機兵の自重を相殺するための揚力が発生する。
2番機が、腰の打刀を抜いて右手に握った。西門に立つ2機のB級ジークフリードに向かって、ゆっくりと歩き始めた。




