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聖剣の歴史(自己申告)

 遠い昔、国同士の戦争があった。


 互いに譲らず、引き際を忘れた国は他の国も巻き込み泥沼のような戦争を続ける。


 そんな中、廃墟となった片隅で鍛冶師と錬金術師の老夫婦が剣を打った。


ーーどうか、この戦争を止めてほしい。

ーー人々が悲しみに暮れる世界を変えてほしい。


 老夫婦の子供と孫の亡骸を前に錬金術と鍛冶の全ての技術をつぎ込み剣は完成した。


 老夫婦は全てを出し尽くし打ち上がると同時に絶命していた。


 この時、剣には奇跡的に1つの意志が宿る。


ーー人を助ける者の力になろうと。


 最初の持ち主は廃墟を漁っていた盗賊だった。モンスターを切り、人を切り盗賊は剣を使い続けた。剣は切った相手の魔力を少しずつ蓄えその時を待っていた。


 その日は突然やって来た。今まで両親を殺されて奴隷のように使われていた少年に盗賊は油断していた所を背後から刺されて絶命した。少年は捕らえられた人達を助けだし、町に逃げ込み兵士達の力を借り残党を殲滅した。幸運だったのはこの町に盗賊と繋がりのある人物がいなかった事だろう。少年は兵士に取り立てられ、子供を3人もち子供達の成長を見守り天寿を全うした。


 私は次男に形見として与えられ、この頃激化した燐国との戦争に駆り出された。次男は頭はそれなりだったが、力が弱かった為に思うように成果が上げられずに知り合った友人に慰められる日々が続いた。そんな時に友人が捕虜として敵の砦に連れていかれた。次男は友人を助ける為に強襲部隊に志願し手薄なところから中に入り戦った。次男は敵を一撃で吹き飛ばし活躍した。私が溜め込んだ魔力で腕力を底上げしてあげたのだ。(ドヤッ)戦争から帰った次男は小さいながらも領地をもらい貴族の末席になった。


 戦争が終り、平和に時が過ぎる。何代か後の息子が私を持って家を出た。この頃、冒険者という荒くれ者がヒーローの様に祭り上げられ魔物を狩っていたのが原因だったと思う。一代で貴族並みの富を築き上げた話を子供の頃から聞かされていれば憧れるのも仕方がない。剣は貴族のたしなみとして少しは使えていたが、運が悪い事に新人いじめに会い森の奧においてけぼりにされた。夜になれば活発になる魔物もいて迂闊に寝ることもできない。だから私は魔物避けの結界を張り安心して眠ってもらうことにした。魔力を流し込み身体能力の成長をそくすのも忘れない。その結果、森を出る頃にはムキムキに成長して新人いじめをぶちのめし、冒険者の中で頭角を表すことになる。


 彼が結婚したのは王族の末席に連ねる娘だった。そしてその頃魔族が活発に行動して人族にちょっかいをかけてきた。その中心になった魔族が魔王を名乗り本格的な侵略戦争を仕掛けてきた。人族の王達も一丸となり戦ったが魔族の力に押され、いくつもの村や町を明け渡す結果になった。


 彼は魔族の力に心を折られ、妻の実家に寄生するようになった。これではいけないと思い、毎日〇ゅう造のカレンダーに書かれた格言を寝ている時に囁き、洗脳、精神の強化を施した。


「俺が魔王を倒す!」


 私を掲げ、みんなの前で宣言する彼に国を超え人々が集まった。そして魔王軍を相手に連戦連勝をし、魔王の前に立った。


「魔王を殺る!魔王をヤル。魔王をーー」


 洗脳が効きすぎたのかそれしか言わなくなった彼だが、最後に相討ち覚悟で放った剣技『いてもうたらー!』で腰だめにした剣で魔王をぶっさし勝利した。


 凱旋した彼はそのまま王になり私は聖剣としてまつられその後も現れる勇者を鍛えている。


◆◆◆◆◆


 そう物語を締めくくる聖剣は幼女姿で勇者アミリオにお菓子を食わせている。


「鍛えてねえ!」


 魔王カルワーはツッコんだ。


「ホントに聖剣か? 物置に忘れられた魔剣じゃないのか?」

「聖剣です。でも、何故か私達が忍び込んだ倉庫の片隅にあったんです」

「ホントに聖剣なんだぞ! 『ちょっと邪魔だから物置に置いといて』って忘れられた訳じゃないからな」


 涙する聖剣の頭をアミリオがやさしく撫でている。


「カルワー様、この話題はここまでに」

「そうだなエスミル。すまん」

「反省するならそこの壁に手をついて頭を下げなさい!」

「何でだよ!」

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