幼女が現れた!
「アミリオは何処です?」
「離せ! 俺を誰だと思ってんだ!」
「……ニート」
「合ってる」
「合ってない! 皮肉も通じないの?」
ここ数日ゲームするために逃亡していた魔王を、ある地下室で捕まえたミスリエは勇者が見当たらないので聞いてみた。
「アミリオがゲーム中に肩こったとか言うから地下迷宮に放り込んできました」
「何で!?」
「凝りをほぐすのにはやはりウンドーかな? と思いまして」
「私が師匠から仕事を教えてもらってる間に……」
「え? メイドの?」
「それと捕縛術と拷問の手順ですが?」
「あんた職業王女だよね?」
王女は斜め上のスキル獲得にいそしんでいた。エスミルさんは彼女をどこへ誘うのか……。
「いつから地下迷宮に?」
「3日ほどたつかな?」
アミリオを地下迷宮に放り込んだ後、メイド達に見つかって逃走したからそのくらいかな?と魔王は思い出した。
「そういえば、今日は『黄昏てアンダーソング』のHRキャラ放出ガチャがある日だった!」
「逃がしませんよ。エスミル師匠の元に連行するんですから」
「いや、勇者だ勇者! アイツ連れて来ないとガチャができる奴が減る!」
「ちょっと! どこ行くですか!」
「地下迷宮!」
カルワーの後を追いかける。
兵士達の演習場を抜け奥に行くと迷宮につながる巨大な黒い門があらわれた。その門からちょうど幼女に連れられた勇者が出てきた。
「アミリオ! ……と、誰?」
「あれは『黄金聖剣マルガリッチ・猫・ソギ』! 」
「何です? それ」
「『黄昏てアンダーソング』で出るキャラだ。まさか、ソギちゃんを実際に見れるとは!」
「涙を流すほど? キモいんですけど……」
「ありがたや~。ありがたや~」
拝みだすキモい魔王を置いて幼女を見る。
装飾過多の白いドレスの上に可愛らしがちょっと気の強そうな顔がのっている。そして緩くウエーブのかかった金髪が背を流れて足元までのびている。
その目が魔王を見るとキッと睨み付け、
「ゲバッ!」
跳び蹴りをぶちかました。そして顔に靴跡を付けてぶっ倒れた魔王に馬乗りになり、タコ殴りする。
「おのれがアミリオをあんな所にぶちこみおったんか! いてもうたるぞ! ゴラ!」
「た、助け、ブギャ!」
「ヒイイィィ、暴力幼女~」
ミスリエが悲鳴を上げながらアミリオを連れて逃げた。
「あら? どうしました?」
魔王の間にカルワー用の罠を仕掛けていたエスミルは玉座の後ろに隠れているミスリエとアミリオを見つけた。
「エスミル師匠~。暴力幼女が出たんです! 魔王が犠牲に……」
「……え? 幼女?」
「それがバーンて魔王に蹴りかまして、馬乗りになってボコボコに……」
生残な状況を思い出したのかミスリエが涙を流した。
「恐かったのね」
その体を抱き締める様に慰める。
しばらくすると落ち着いたのか泣き止んだ。
「ところで、この勇者は?」
「ダメです。スイッチが切れたように動かないんです」
頭を叩いても髭を書いてみても『この下僕が!』と罵ってみても反応を見せなかった。(すべて王女がやったことです)
「この症状は……ちょっと待ってなさい」
エスミルは魔王の間から出ていった。エリクサーとかの貴重な薬でも取りに行ったのだろう。そう思っているとある物を手に戻ってきた。
「……ゲーム?」
アミリオに持たせ、スイッチを入れる。
『ピローン』
「は! ここは? ミスリエ?」
「これはニート歴3年から5年の間にかかる『ゲーム外は完全にオフ病』拗らせると完全にゲームキャラになります」
「そんなのあるの!?」
「カルワー様も前にかかり、自作の勇者装備でタンスをあさってました。運よくモーホー兄貴のタンスに当たりフンドシを見て自分を取り戻しました」
何やってンだ魔王! ドラ〇エ拗らせたのか! ミスリエは思った。
「魔王はどこ行った! あんな所に放り込みやがって! ぶっ殺す!」
アミリオは魔王にやられた事を思いだし、扉に走ってーー
「勇者~!」
「プゲッ!」
先に開いた扉から突っ込んで来た幼女にぶっ飛ばされ、気を失った。
「勇者~。どこか痛いとこないか? 怪我は? 水は飲んだ? ご飯は? 私は心配で心配で……」
泣きながらしがみつく幼女に状況に着いていけないミスリエは固まった。
「これは『黄金聖剣マルガリッチ・猫・ソギ』のコスプレ」
「師匠!?」
「冗談はここまでにして、彼女は何か変ね。普通の気配とは違うわね」
「そうだな。ソギちゃんとは違う。今回新しく出る『神電王拳ダーツ・モウ』だ。さっき出たHRカードにあったから間違いない」
「カルワー様何処で餌もらってたんですか?」
「あれ? 魔王ってペット?」
「カルワー様はさっきあの子に殴られていたんじゃ……」
「ミスリエ君、俺はそんな事されてないよ。されたら喜ぶけど」
「それなら、あれは誰だったの?」
「たぶん、カルワーⅡ(セカンド)じゃないか?」
「また、分裂したんですか? 駆除が大変じゃないですか」
「魔王って分裂するんですか?」
「カルワー様だけですけど」
そんな事を話していると扉からボロボロになったカルワーがやって来た。
「カルワー! 大丈夫か!」
「もう、俺はダメだ。後は……頼む」
「しっかりしろ! もうすぐ治療してやるから」
「……最後に言わせてくれ」
「バカ野郎! 諦めるな!」
「幼女に殴られて、堪能しました(ガクッ)」
「カルワーー~!」
倒れたカルワーを抱き抱え涙するカルワー。エスミルはそこに近づくと、
「えい」
「「ギャァァァッ」」
持っていたモップでカルワー2人を串刺しにした。
「しっ、師匠!」
「害虫駆除は終わりました。どうしました?ミスリエ」
「魔王を殺害しちゃっていいんですか?」
「してませんよ」
「だってここにいるのは……」
「エスミルさーん、紅茶とポテチお徳用用意して」
天井にぶら下がったカルワーが現れた。
「カルワー様、その前に片付けをお願いします」
「え~」
嫌そうな顔でモップに貫かれた串団子状態のカルワーに近づくと、
「吸収!」
一瞬で取り込んだ。
「そんで、タウンロード」
「……師匠、動かなくなっちゃいました」
「大丈夫よ。しばらくすると再起動するから」
言った通り、再起動した。
「幼女のコスプレ!」
「第一声がそれかい!」
「どこどこ? どこいるの?」
「勇者の上でこっち向いて唸ってます」
泥棒見つけた気性の荒い犬みたいに唸っている。
「で? あの子は誰?」
「ミスリエの関係者?」
「魔王様の関係者じゃないんですか?」
「いや、それならあのなつきようはないだろ」
「そうですね。アミリオにくっついてますもんね」
「では、この魔王が代表して聞いてやろう。別に幼女とお近づきになりたいわけじゃないんだからね」
言い訳がましい事を言って幼女に近づいた。
「フーアーユー?」
「なぜ、英語?」
「怖くないよ~。飴ちゃんあげるからおじちゃんといい事しよう」
「不審者になってる!」
エスミルは無言でモップを振り回しカルワーをぶっ飛ばす。
「変態は退治しました。あなたのお名前を教えてください」
優しく微笑むと幼女に話しかけた。
「私は、勇者に引き抜かれた聖剣じゃ」
「「聖剣?」」
魔王の間にその言葉が響いた。
黄昏てアンダーソング
夕日が沈み世界が赤く染まる『たそがれ時』に世界を渡り少女達が現れる。
少女と『縁』を結んだ彼世界をまたにかけ『たそがれ時』の秘密に迫る。
という妄想カードゲームだす。
こんなの元にして誰か小説書いてくんないかな?




