作戦
「ホントですカ!?」
「ああ、この方法で試してみろ。必ずお前に手を出さなくなる。」
「ありがとうございまス!」
俺の案は誰も予想がつかないものだと自負している。しかし、成功するには王の勇気が必要だな。上手くいくだろうか?もう去っていった王のだらしない顔を思い出す。素顔は綺麗な方だと思うんだがな。これが終わったらツクミにでも頼んで綺麗にしてもらうか。
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私が日本に来てからもう3年が経つ。一生懸命に日本語を勉強し話せるようにもなっている。だけど発音が下手でよく喋る人達を困らせていた。私は元々人と上手く喋ることは出来なかった。だから自分のせいで空気が重くなることに耐えられなかった。
高校では全く人と話さなくなり、毎日一人で過ごしていた。寂しかったけど、そんな時、私に話しかけてくれた人はユウカちゃんだった。
ユウカちゃんは、とっても優しくていつも私の話を真剣に聞き取ってくれた。嬉しい。ただ私の話を聞いてくれる事が嬉しい。
それでもそんな日々は一瞬で終わってしまった。ユウカちゃんは他の女子のグループを作っていた。勿論私もユウカちゃんについていってそのグループに入ろうとした。だけどユウカちゃんは私の話を聞こうともせず、しかも私の事で笑い話にしていた。
ユウカちゃんはただ私と“トモダチ”になっただけだったのだ。だから私はユウカちゃんに言ったの、「やめてヨ!」と。だけどそれが間違いだった。ユウカちゃんの周りにはもっと仲が良かった人達がいた。
ユウカちゃんはそれ以来そのグループで私をいじめるようになった。物を壊されたり隠されたり時にはお金だって取られた。そんな日々に耐えて耐え続けてきた。私が悪かったんだと。
ある日またお金をせびられた。もう無いとやめてくれと頼んだ。そんな言葉を聞かずに罵り暴力を振るった。限界だった。もう死にたいと思った。なんで私が。だけど、一人のクラスメイトが助けてくれた。天本 アキト、それが助けてくれた人の名前。
その人は私が絡まれているところを助けてくれた。だけど私はユウカちゃんみたいにならないかと思った。仲良くなるにつれ傷は深くなってしまう。だから私は自分の悩みを全て明かした。その人はユウカちゃんみたいに真剣に聞いてくれた。だけど、そのせいでユウカちゃんみたいにいじめてくるかもしれない、そう思った。私の予想に反し、その人は解決策を教えてくれた。話を聞いてたように真剣に。私はそれをみて、この人は優しいんだと直感で思った。だから信じて実践してみることにした。
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3日後、6時限目の終わりのチャイムが鳴る。そろそろか。俺も少し不安な気持ちになっていた。あんなやつが出来るのだろうか。授業中の彼女の様子はどうもぎこちなかった。多分、王も緊張しているのだろう。相当な頑張りが必要なのだから。HRが終わり各自がそれぞれの場所に行く。王が帰ろうとすると予想通りあのグループもついてきた。あのグループのリーダー格の名前は乃木 優香。俺は話を聞いた後ずっと観察していた。
プライド高め、自己中心、コミュニケーション能力高め、妹がいて片親家庭、3〜4人程度の規模で王以外にいじめてる人物はいない。俺が観察してわかった彼女の情報だ。情報があるからといって役立つわけでは無いが念には念を、だ。俺もその後に続いて王の元へ向かう。下駄箱に着くと乃木が王に話しかけていた。そしてグループと一緒にどこかに移動する。来た場所は校舎裏だった。俺は物陰に隠れて様子を見ていた。着いた途端乃木達は王を殴り飛ばした。他のメンバーも同じように殴ったり蹴ったりする。ここで耐えなければならない。俺が一番心配していたのはここだった。身も心も限界な王にとっては今の状況は壮絶な物になる。俺がいつでも止められるように少し立ち上がる。本当に無理な場合には俺が持たせていたポケットにあるアラームを鳴らすように言っている。すると突然、王が動かなくなる。それにつれてグループの動きも止まる。一人が「えっ」と呟く。するとグループの一人は近づいて体に手を当てる。「死んでる・・・」その一言に全員が慌てる。「嘘でしょ・・」「そんな・・・」どうやらいじめるのは簡単にするがいざ死ぬと世界が終わるかのように慌て出す。すると乃木が「あ、ああ、うあ。」と言いながら後ずさる。
「ここは任せて。大人数でいると怪しまれる。私が一旦別の場所に移すから皆んなはこの場所から逃げて。」
その言葉が引き金のように、その一人を残してすぐに逃げていった。
俺は居なくなったのを確認して立ち上がりもう一人の方へ歩いていく。
「本当にこれでいいの?やりすぎなんじゃ無い?」
「協力感謝する。ツクミ。」
ツクミがため息をつく。俺は王の元へ行き、
「大丈夫か?」
「は、はい・・」
ひとまず王の無事を見て安心する。
「怪我は後で治そう。一旦水で洗ってこい。自分でやった方がいいだろう。よく頑張ったな。」
そう言って王が嬉しそうに水道に向かう。
「それにしてもバカだよね。こんなので人が死ぬわけないのに。」
「人間は誤ちを犯した時にパニックになり普通はわかるような嘘でも簡単に信じてしまう。だから冷静になって相手が気付くのも時間の問題だ。」
「全く感謝してよねー。入り込むの大変だったんだから。」
「いや本当に今回はありがたいと思っている。いつかこの借りは返そう。」
実は俺は王と話をした後ツクミに事情を話し協力してもらったのだ。ツクミが乃木達のグループに入り込み情報や誘導までやってもらったのだ。言わばスパイである。
「しかし案外上手くいったものだね。」
「人間は単純だからな。」
俺とツクミが話していると戻ってきた王が慌てて
「も、もしかしてお二人は、え、えっと、あの大人のお付き合いをし、してい、いるんですカ?」
「フフ、そんなわけないでしょ。こんな頭が堅いやつ誰が好きになるのよ。」
「ツクミとはただの友人だ。なんでそう思ったんだ?」
「二人が仲良さそうに話すカラ・・」
「ツクミとは幼馴染だけだからだよ。恋人でも何でもない。」
「そ、そうですカ!な、なんダー。勘違いしちゃってましタ、、」
そんなこんなで俺達は次の作戦を確認していった。
「それじゃあ王は家に帰ってゆっくり休め。俺とツクミは次の準備をする。」
そして俺達が離れようとすると
「あ、あの!も、もし今回のが上手くいったラ、私の事、ヨウカと呼んでくれますカ!」
「王には頑張ってもらったし、逆にそんなのでいいのなら全然いいが。」
ツクミの方を向くとツクミがクスクスと笑う。もう一度王を見ると王が手で顔隠して耳を赤く染めて悶えていた。




