正解
翌日、俺はツクミと一緒に登校すると案の定グループの内の2人が欠席していると担任から聞いた。俺は王の席に行くと、
「昨日の夜は何もなかったか?」
「ハイ、大丈夫でしタ。本当に天本クンの言った通りになるなんて・・すごいですネ、、どうして天本クンはこんな事が出来るんですカ?」
「そんなに難しい事じゃない。相手の動き、感情、クセ全てを観察するんだ。そうしたら勝手に頭の中でこうする、ああするみたいなシミュレーションが出来るんだ。」
「へ、へぇ。それでも簡単に出来る事では無いですヨ。さすが天本クンですネ、、」
「ふーん、じゃあそんな王ちゃんはそんなアマモトクンと一緒に何がしたいの〜?」
「エッ、エ!?」
王がツクミの言葉で色白な肌を赤く染めてあたふたする。
「ツクミ、いじるのもそこら辺にしておけ。」
「えぇーー。王ちゃんこんな可愛いのにーー。」
そんな事をしていると、ガラッとドアが開いた。そのドアから入ってきたのは乃木 優香だった。乃木はこちらを一瞥すると、そこにいた王を見て少し驚いた様子をみせたが直ぐに、なにもしないで自分の席についていった。
「あの感じじゃあ、やっぱり優香ちゃんは王ちゃんが本当に死んだとは思って無さそうね。」
「ああ、多分、乃木は王がこんなにも早く登校するとは思ってなかったのだろう。なにせあの後のすぐ翌日だからな。」
そう乃木はグループ内のリーダーであり一番知的な人物せある。だから乃木はすぐに気づいて昨日中に王に
何かしてくると思っていたのだが。乃木は意外と俺の予想以上に知能が高いかもしれない。
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乃木は登校してからなにも不思議な様子はなく一人で過ごしたまに友人と会話をする。ごく一般的な行動だった。俺の計算では流石に乃木から王へ何かするだろうと思っていたが、その様子が一切無い。放課後になった。俺は意外にも焦っていた。なぜだ?作戦がバレたのか?自分の考えを信じていた分思い通りにならない乃木に対して違和感を覚えていた。こちらも何もしないと目的を果たせない。今はツクミも居ないし王もいない。そう思った俺は早速まだ残ってる乃木の方へ話しかけに行った。乃木は近づいた俺に気付き
「あなたがこの件の黒幕?」
「ふん、ずっと待っていたのか。」
「まあ、色々とおかしいでしょ。あんなので私を騙せると思った?八雲もグルでしょ。見え見えの嘘で何をするつもり?何が目的なの?」
「俺の目的は2度と王に近寄らせない事だ。お前の仲間も含めてな。」
「なに?自分は可憐な少女を助ける王子様だと思ってんの?これはあんたと関係ない。私とあの子との問題よ。首を突っ込んでもらわないでくれない?」
「いいや、無理だ。一度突っ込んだ首だ。もう抜け出せない。」
「あんたは何も分かっていない!あの子がいや、あいつが何をしたかってことを!」
乃木がドンッと机を叩いて大声を出す。
「失礼、少し興奮してしまったわ。」
俺はさっきまでの乃木の落ち着きからの感情の激しさを見て
「どうやらそっちも問題があるようだな。大丈夫か?」
「ッフ、こんなので同情しちゃうの?とんだあまちゃんね。」
「俺はお前の事情を聞きたいだけだ。この世に正解なんてない。だから俺が正しいと思った方へ行く。」
「無理ね。あんたは信用に値しない。そもそもこの話は信じてくれる人なんていない。これはさっきも言った通り私達の問題よ。言っとくけど、あんたもあの子と余り仲良くならないことね。あの子がどういう手を使ってあんたを信用させたか知らないけど、気をつけな。」
「それじゃあ俺もお前から話を聞くまでお前から離れない。」
「はあ?あんたどんだけ頑固なの?まあ無駄よ。中川達にも連絡を取ってあるわ。」
「お前、王に何をするつもりだ?」
「さあね?あんたはずっと私についてくるんでしょ?助けたいなら勝手にすればいいじゃない。」
王は今頃ツクミと一緒に帰ってるはずだ。予想していたこととズレたがまだ作戦通りになっているはずだ。
「そうだな。だが俺は俺の作戦を信じる。だからお前が音をあげるまでついていく。だが俺はもしお前が悩んでいるなら聞いてあげられる。お前が誰にも話したくないようなことを。だけどこれだけは言える。俺はお前の事を知りたい。そして偽善と言われても助けてやりたい。」
俺は前世から人の困ったような助けを求めるような目をする人を助けたいと思う気持ちが強かった。俺はこれを正義感と言うには気持ちが悪かった。ただの自己満足、俺を突き動かす気持ちはそれだ。世界は正解はない。例えば親を殺した子がいる。勿論世間はなんて親不孝なんだと子を批判する。だけど子の親は虐待をしていた。すると一転今度はもう死んでる親を非難する声が上がる。子は殺さずに警察にでも相談するべきだったと言うやつもいる。そこの選択には正解は無い。そもそもそこに正解を見出そうとする世界がおかしいのだ。だけど俺は物語の主人公のように誰でも助けられるわけじゃない。なのに人一倍その気持ちが強かった。前世の仲間達と出会った時もその気持ちのおかげといってもいい。俺はこの感情を嫌っている。だけど、その分世話にもなっている。何分経っただろうか、乃木は俺の目をじっと見た後、ッチと舌打ちをして
「あの作戦あんたが考えたものだったのね。分かったわ。話してあげる。あの子と私に何があったのかを。そして今からどうするかをね。」
「いいのか?まだ1日も経ってないぞ。」
「キモいから喋らないでくんない?」
乃木が即答する。
「私はまだあんたのことは信用してない。けどあんたは私みたいに只者じゃない。そしてあんたも私と同じニオイがする。それだけよ。」
「ありがとう。」
俺はただ感謝をした。このどうしようもない気持ちを受け止めてくれたことに。この正解を知りたい気持ちに。




