モテ期到来?
今、俺は混乱の中にあった。生徒とすれ違う度に見られている。それは何故か。
「アキト、早く教室行こう?」
この女、ツクミである。コイツは家を出た時玄関前で待っていて、その後はずっと俺の腕と組み登校中であった。皆んな関心の顔でこちらを見る。そしてなによりこの二人だ。
「アキトお前も彼女出来たんだな。俺は嬉しいよ。」
ヒロトが涙ぐみながら言う。
「やっぱりそうだと思ったんだよなー。アキトと八雲ちゃんは絶対くっつくと思ったもーん。」
この二人も俺達を見つけた時からずっと後ろに付いてくる。
「だから違うと言っているだろう!コイツが勝手にしているだけだ。」
「アキト顔赤いぜ。」
「なっ。」
慌てて手を頬に当てる。後ろを振り返ると二人がニヤニヤしながら見る。
「嘘はやめろ。本当にコイツは幼馴染だけだ。」
「まっ、多分そうだろーなー。アキトが彼女以前に好きな子が出来ると考えられねーよー。」
おお、流石俺の友だ。それはそれでついてくるのもおかしな話だがな。
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教室の扉を開けると、まだ数名しかいないクラスメイトがこちらも見て少し驚いたような顔をして直ぐにそれぞれの話に戻っていった。その後HRが始まった。
「・・・と言うわけで、天本君は転校しない事になりました。ハイ皆んな拍手〜」
担任のよく分からないノリにクラスメイトが合わせ拍手する。その後HRが終わり小休憩の時間に入る。
「ねえ、アキト君ってツクミちゃんと付き合ったりしてるの?」
俺が一人で廊下を歩いているとクラスの女子に話しかけられた。確か、、玉木と言ったか?やはり女子の中で一瞬で噂になったようだ。勿論ここは否定しておこう。
「ふ、ふーん。そうなんだね。ありがと!」
「あ、あのさアキト君ってあまり友達作らないよね、、それでさ、、急なんだけどさ、、私の友達になってくれないかな?」
俺は前世も含め生涯聞いたことのない誘いに驚く。しかも初めてと言っていいほど話したことは無い。話題になっているからだろうか。
「ああ、いいが。」
「本当!!ありがとう!」
玉木と連絡先を交換した後去って行った。すると背後からニュッと影が出てきた。
「アキト、お前ついにモテ期がキタな。」
「俺の方が早くモテ期来ると思ったのにー。やるじゃん。」
予想がついていた人物達にため息を吐き言う。
「やはりお前達か。どこからでも来るな。後モテ期と言ったか?どこをそう言っているんだ。」
「だってあの子ぜーってーお前に恋してるぜ。目的がない男子に連絡先を交換する女子など居ない!」
「何を馬鹿なことを。俺が噂になっているだけで直ぐに冷める。」
「何スカしてんだよ。」
俺の頭をヒロトがはたく。そのまま教室に入って行った。
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「だからここがこうなって・・・・・って言うわけですねー。」
この世界の学問は前の世界より大幅に進歩している。前世では頭の悪い方ではなかったほうだが(多分)全くついていけない。
「どうしたの?わかんないの?ふふっ。」
隣のツクミが馬鹿にするよう小声で言ってくる。
「ッチ、黙れ。今集中してるところなんだ。」
「教えようか?」
ツクミがニヤニヤしながらこちらを見る。同時に玉木もこちらを見ている事に気がつく。そちらを見ると慌てて目を逸らした。すると、
「おい、そこ何話してんだ。話したいなら授業でもするか?」
数学の教師が注意をしてくる。
「はーい、ごめんなさーい。」
「八雲じゃない。天本だ。」
(はぁ?このハゲ何を言っているんだ?どう見ても俺は話していなかっただろう。)
この教師は生徒達からよく嫌われていてハゲパパと呼ばれている。勿論理由は全てを照らす勢いの頭部と女子だけ贔屓するからだ。パパはパパ活からきたのだろう。
「すみません。」
俺は不服ながらも一応謝る。それにしてもここの勉学は難しい。成績不振で母に叱られた事を思い出す。その時は父も珍しく怒っていた。その後にミカに兄なのに慰められていたな。父と母の凄惨な遺体が脳裏によぎる。手に滲んだ両親の生温い血。ずっと、しまっていたモノが溢れ出てくる。その中には前世の仲間達もあった。何故だ?どうしてアイツらも出てくる?前のようにぐちゃぐちゃの感情が流れ出してくる。するとツクミがこちらを見る。
「また?大丈夫、、?」
ツクミの目を見て落ち着きを取り戻す。俺は頷きながら目を閉じる。最近このように家族の事を思い出すと、何度もこのような事が起きる。大丈夫だ。妹も無事だし母達も生き返らせる。しかしアイツらも何故か出てきたのだ。最近落ち着いたと思ったら、そっちのモノもまだ治っていないのだろう。
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その後何も起きずに昼休みになる。今日もヒロト達は食堂で飯を食っている。ツクミは新しい友達といて結局俺は一人で食べている。悲しくは無い。全然気にしていないからな。 クソッ
それで俺は気分転換する為に中庭に行く事にした。中庭のベンチに座って購買で買ったパンを食べる。
「おい!なにヘラヘラしてんだよ!」
急に聞こえた声の方を目をうつす。そこには数名の女子が一人の女生徒を罵っていた。どうやらその女子は俺のクラスメイトのようだ。いつもはそういうのは避けていたがツクミからハーメズの情報を得る為に友達を増やせと言われている。仕方ない。
「おーい。どうしたんだ?」
前髪から透けて見える眼鏡と焦点が合わない目を向けてくる。
「ッチ、ズラかるぞ」
一人になったのを見て近づく。
「大丈夫か?」
「あ、う、ウン。ありがとうございまス。」
「えーと、何だっけ。」
「あっ王って言いまス。」
名前を聞き思い出してきた。王 陽佳。親が中国人で本人も中学の時に日本に来てあまり日本語が喋れないと聞いている。目立たない姿で人と話している姿はほとんど見たことがない。
「ア、アノ、お昼ご飯一緒に食べてくれませんカ?」
王が色白い肌を赤く火照らせ言う。
「俺はいいがお前は大丈夫なのか?」
俺は急な誘いに戸惑いながら承諾する。
「ちょうどアノ人達の事で相談したいんデス。他に相談する人がいなくテ・・・」
またベンチに座り話を聞く。拙い日本語を聞き取ると大まかの話が見えてきた。どうやら中学校で日本語は全く喋れないで友達が出来なかったが高校では沢山友達を作ろうと思った。しかし、そこであの女子達に最初話しかけたら陰湿な見た目と拙い日本語のせいで、イジられていてそのままイジメに繋がったらしい。
「それで唯一助けた俺に相談したわけか。」
「ハイ、、何か解決策を聞きたいんデス。」
手を顎にあて少し考えて王をニヤッと見る。元々ダンジョンの攻略の指揮もしていたから作戦を立てるのは得意なんだ。どの人間がどう動くか。それは魔物の動きを予測するよりも遥かに簡単である。
「なるほどな、俺に良い案がある。任せろ。」
俺はそう言い作戦の内容を伝えた。しかし、その瞬間、その一人の女性が恋に落ちた事はまさに神のみぞ知る事であった。




